工事設計書によると、用水路と揚水機の新設が主たるものであった。ところでこれまでの灌漑状況は、どうであったかというと、南端にある小溜池(面積一反二畝、水深平均二尺五寸)から水を引いていたが、とても地区内全耕地を潤すことはできず、ちょっとの日照りにも干害をうける状態であった。ところが明治二七年頃から、ポンプを借り、馬場崎地先に据え付けて揚水灌漑をしたところ、時機を失しなかった年は、干害を蒙ることがなかったという。用水路は当時なかったのですべて田越灌漑であった。
この先人の尊い経験に基づき、一宮川の水をポンプで揚げ、全耕地を灌漑出来る用水路もつくろうというのがこの組合の目的である。先ず揚水計画について述べると、灌漑に用いる一宮川の水量が問題となるが、これは調査の結果十分であることが確認された。即ち、昭和六年八月一〇日(この日までに連続干天一八日)の水量を測定した結果約九町歩の耕地を潤すに足る水量があることが明かとなった。そこで、揚水ポンプの問題であるが、設置位置は、馬場崎地先ときめたが、水田の位置が高いので、少くとも一〇米以上の高さに揚水する力をもったものが必要となる。そこで種々検討の結果次のような性能をもつものを設置することにした。
揚水機 渦巻喞筒、口径四吋単吸水型
所用水量 毎分〇・八五立方米
一日の使用時間、一六時間
管長一〇米
石油発動機、前記ポンプをベルトにて運転。
馬力数、四馬力、回転数毎分六百回
次に用水路については、揚水場から懸樋(かけどい)を設け、その先にトンネルを掘り、特にその他には用水路を設けず、田越灌漑を行うことにする。
この工事は、着工後一年半でほぼ完成をみた。
工事費は、総工費二千五百円
内訳 揚水機 八八〇円
用水幹線費 二七〇円
開田費 一二〇〇円
測量費 二五円 予備費 四五円
その他 八〇円
所用水量 毎分〇・八五立方米
一日の使用時間、一六時間
管長一〇米
石油発動機、前記ポンプをベルトにて運転。
馬力数、四馬力、回転数毎分六百回
次に用水路については、揚水場から懸樋(かけどい)を設け、その先にトンネルを掘り、特にその他には用水路を設けず、田越灌漑を行うことにする。
この工事は、着工後一年半でほぼ完成をみた。
工事費は、総工費二千五百円
内訳 揚水機 八八〇円
用水幹線費 二七〇円
開田費 一二〇〇円
測量費 二五円 予備費 四五円
その他 八〇円
財源ねん出方法としては、補助金として臨時匡救耕地拡張改良費補助金一千百円、起債一千円、その他四〇〇円である。
針ケ谷区にとって、大事業であったが、これによって、一宮川の水が用水として自由に活用ができ、増産に大きな力となっている。