前表3は、昭和三〇年、郷土の水稲品種の作付面積を示したものであるが、この表をみると、第一が農林二九号で約三割、第二位が京都神力で約二割、以下ハツシモ、千葉旭となり、コシヒカリは作られていない。ところが、昭和四七年、日吉村の状況をみると、ホウネンワセとコシヒカリで八三%になっている。
そして一〇アール当り収量も四三一キロ(昭和四一―四五年平均)となり、後進県の汚名を返上した。
表3 昭和30年 水稲品種別作付面積表(役場資料) |
地区 品種 | 長柄 | 日吉 | 水上 | |
早 生 | ギンマサリ ヤチャコガネ 農林 1号 〃 41号 | 775畝 579 71 68 | 1,669畝 265 10 | 978畝 1,286 37 146 |
中 生 | 農林29号 千葉旭 農林32号 〃 25号 〃 36号 〃 8号 〃 37号 キヨスミ | 7,493 1,435 541 426 719 172 203 14 | 7,741 2,462 1,276 803 183 146 609 137 | 7,108 1,639 854 499 363 133 310 156 |
晩 生 | 京都神力 ハツシモ 愛知旭 | 5,781 2,383 982 | 4,686 3,128 1,441 | 4,367 2,051 918 |
も ち | 赤もち 旭もち 信濃もち3号 | 612 110 56 | 1,019 314 201 | 629 338 157 |
奨励品種合計 | 22,420 | 26,090 | 21,078 | |
奨励品種外合計 | 2,563 | 4,472 | 5,170 | |
総計 | 24,983 | 30,562 | 26,248 |
(註 10畝=10アール) |
最後に、長生郡に於ける奨励品種の作付面積の推移を表4に掲げておく。本町の状況もほぼこれに近いのである。
表4 長生郡水稲栽培品種の変せん表(千葉県統計) | (単位ha) |
大正15年 | 昭和16年 | ||||
品種名 | 作付 面積 | 作付 割合 | 品種名 | 作付 面積 | 作付 割合 |
晩生神力 中生 〃 〃 愛国 早生溢 中生美濃錦 早生愛国 晩生黒穂 〃 京神 早生大阪神力 晩生神国 | 1,917 1,580 1,276 646 469 348 257 240 267 107 | 22.9 18.9 15.3 7.7 5.6 4.2 3.1 2.9 2.2 1.3 | 京都神力 千葉旭 農林8号 中生銀坊主 早生 〃 中生愛国 早生旭 農林17号 不作不知 刈羽神種 | 2,203 1,590 1,502 670 619 367 102 91 60 58 | 24.6 17.7 16.7 7.5 6.9 4.1 1.1 1.0 0.7 6.0 |
計 | 8,362 | 計 | 8,970 |
昭和19年 | 昭和24年 | ||||
品種名 | 作付 面積 | 作付 割合 | 品種名 | 作付 面積 | 作付 割合 |
京都神力 農林8号 中生銀坊主 〃 愛国 近畿25号 農林17号 | 2,073 1,840 635 521 248 159 | 23.3 20.7 7.2 4.9 2.8 1.8 | 京都神力 千葉旭 早生銀坊主 農林29号 〃 8号 中生銀坊主 〃 愛国 愛知旭 赤糯 早生愛国 旭糯 | 1,544 926 940 891 883 765 426 361 277 215 107 | 18.9 11.3 11.5 10.9 10.8 9.2 5.2 4.4 3.4 2.1 1.3 |
計 | 8,881 | 計 | 8,211 |
(表4の2)長生郡水稲栽培変遷表 |
昭和30年 | 昭和38年 | |||
品種名 | 作付 面積 | 作付 割合 | 品種名 | 作付 割合 |
農林29号 ギンマサリ 京都神力 農林32号 ヤチコガネ ハツシモ 農林36号 千葉旭 愛知旭 農林37号 赤糯 農林8号 〃 25号 早生銀坊主 旭糯 | 1,956 730 483 477 465 458 352 328 310 289 257 199 169 160 118 | 24.1 9.0 6.0 5.9 5.7 5.7 4.3 4.1 3.8 3.6 2.5 2.0 1.5 | ホウネンワセ コシヒカリ 信濃糯3号 ゆたかわせ ギンマサリ 越路早生 たかね錦 ヤチコガネ トワダ 農林29号 奥羽225号 キヨスミ | 53.2 19.7 7.3 4.5 3.3 1.4 1.2 0.6 0.4 0.3 0.3 0.3 |
計 | 8,100 |
昭和40年 | 昭和45年 | ||||
品種名 | 作付 面積 | 作付 割合 | 品種名 | 作付 面積 | 作付 割合 |
ホウネンワセ コシヒカリ 信濃糯3号 ギンマサリ ゆたかわせ 農林29号 農林23号 キヨスミ 越路早生 | 4,539 1,242 5,528 281 218 77 62 58 | 61.2 16.7 7.1 3.8 3.0 1.0 0.8 0.8 0.8 | ホウネンフセ コシヒカリ トドロキワセ フジミノリ 信濃糯3号 ツキミモチ おおとね こがねもち | 4,878 1,579 264 233 202 202 140 62 | 62.7 20.3 3.4 3.0 2.6 2.6 1.8 1.2 |
計 | 7,419 | 計 | 7,780 |
註
1 『千葉県の稲作栽培』(県農地課)
2 『米と日本人』(家の光協会・樋口清之著)
3 『米と日本人』(家の光協会・樋口清之著)
4 長柄町役場所蔵
農発第五四号
米麦ノ品種ヲ改良シ良種ノ普及ヲ図ル為メ左ノ通米麦種子交換奨励金交付規程及ヒ米麦品種改良奨励委員設置規程相定メ候条右及通牒候也
明治三十九年四月十一日
千葉県農会
千葉県各郡農会
同 各町村農会
御中
米麦種子交換奨励金交付規程
第一条 本規程ニ於テ種子交換者双方現品ヲ以テスルモノ及ヒ交換者ノ一方ハ現品ヲ以テシ他ノ一方ハ代金ヲ以テスルモノヲ謂フ
第二条 奨励金ヲ交付スルハ米麦ノ種子ニ限ルモノトス
第三条 奨励金ハ米麦共ニ一石ニ付金壱円ノ割合ヲ以テ交換高ニ応シ交換者双方ニ交付ス
第四条 奨励金ヲ受クヘキ交換者ハ県農会又ハ郡農会ノ選定ニ係ル種子供給者及ヒ本県下ノ町村農会ニ限ルモノトス
第五条 奨励金ヲ受クヘキ交換ハ米麦共ニ一口壱斗以上五石マテトシ一ケ年一回ニ限ル
第六条 郡農会ニ於テ町村農会ヘ米麦ノ種子ヲ無料配付シ又ハ代金ヲ徴収シテ配付スルトキハ左記ノ奨励金ヲ交付ス但米麦共ニ一口壱斗以上拾石マテトシ一ケ年一回ニ限ル
一、無料配付ノ場合ハ米麦共ニ一石ニ付金壱円ノ割合ヲ以テ配付高ニ応シ郡農会ノミニ交付ス
二、代金ヲ徴収シテ配付スル場合ハ米麦共ニ一石ニ付金壱円ノ割合ヲ以テ配付高ニ応シ郡農会及ヒ配付ヲ受ケタル町村農会双方ニ交付ス
第七条 奨励金ヲ受ケントスル者ハ本会ニ於テ別ニ定ムル所ノ期限ニ従ヒ郡農会ヲ経由シ左ノ書式ニ依リ本会ニ申請スルモノトス
第八条 前条ノ申請ニシテ本会予算ニ超過スルトキハ奨励金ノ交付ヲ停止スルコトアルベシ
第九条 県農会又ハ郡農会ニ於テ選定シタル米麦種子供給者ノ住所氏名種子名称供給予定石高等ハ県農会ヨリ時々公示ス
第十条 本規程ハ本年麦種子ヨリ之ヲ施行ス
書式 一 略
5 長柄町役場所蔵
米麦品種改良奨励委員設置規程
第一条 米麦ノ種類改良ヲ且ツ良種ノ普及ヲ図ル為メ各部ニ米麦品種改良奨励委員一名ヲ設置ス
第二条 米麦品種改良奨励委員ハ郡農会長ノ推薦ニ依リ県農会長之ヲ嘱託ス但任期ハ一事業年度間トス
第三条 米麦品種改良奨励委員ハ県農会長ノ指揮及ヒ郡農会長ノ協示ヲ受ケ左ニ列記セル事項ノ奨励普及ニ努メ且其成績ヲ調査報告スルモノトス
第四条 米麦品種改良奨励委員ニハ県農会ヨリ若干ノ年手当金ヲ支給ス
第五条 前条手当金及特ニ本会ヘ招集シタルトキノ旅費ノ外ハ総テ諸費ヲ支給セス
左記
一、従来耕種ニ係ル劣悪ノ品種ヲ淘汰シ品質優良ニシテ収量少ナカラサルモノヲ普及シ且水陸稲ニ対スル粳糯早中晩等良品種ノ均斉ヲ図ルコト
一、町村農会ヲシテ普ネク種子交換ヲ実施セシムルコト
一、郡農会ノ協示ニ依リ種子交換及配付ニ関シ斡旋スルコト
一 町村農会ニ於テ採種委員及採種田畑ノ設置ヲ奨励スルコト
一、配付原種ノ耕種ニ係ル実況ヲ調査シテ之ヲ本会ヘ報告スルコト
一、奨励金ヲ交付シタル交換種子ノ耕種ニ係ル実況ヲ調査シ本会ヘ報告スルコト
一、種子交換供給者ノ鑑定ニ関スルコト
6 長柄町役場所蔵
長生郡農産物種子交換会規則
第一条 本会ハ本郡内農産物ノ品質ノ改良増収ヲ図ランガ為メ当業者ノ採収シタル種子ヲ蒐集シ相互交換ヲナシ斯業ノ進歩発達ヲ目的トス
第二条 本会ハ長生郡農産物種子交換会ト称シ長生郡農会之ヲ主催ス
第三条 本会ハ毎年度之ヲ開設シ其会場、開期、出品種目、陳列数量、送附期限等ハ左ノ如シ
一、会場 長生郡茂原町
二、開期
第一期 毎年九月五日ヨリ十日迄六日間
第二期 同 一月十日ヨリ十五日迄六日間
三、出品種目及陳列数量
第一期 麦
第二期 米(籾)菽類
各種一品毎ニ五合以上トス
以上ノ外農産種苗ハ類ヲ問ハズ出品交換スル事ヲ得
四、出品送附期限 各開期ノ五日前迄トス
第四条 出品セントスルモノハ左ノ様式ニ依ル出品目録ヲ開会廿日前ニ本会ニ差出スシ
第五条 開期中ハ衆庶ノ観覧ヲ許シ交換希望者ハ其旨掛員ニ申出ツベシ
第六条 優良ノ種子ヲ出品シ交換ノ需メニ応ジタルモノニハ其数量及成績ヲ調査シ感謝状若クハ若干ノ奨励金ヲ交附ス
第七条 出品物ハ交換現品若シク相当価格ヲ以テ現品ニ換フルモノトス
第八条 本会ニ関スル経費ハ本郡農会負担スト雖モ出品及引取ニ関スル費用ハ出品人ノ自弁トス
1 『千葉県の稲作栽培』(県農地課)
2 『米と日本人』(家の光協会・樋口清之著)
3 『米と日本人』(家の光協会・樋口清之著)
4 長柄町役場所蔵
農発第五四号
米麦ノ品種ヲ改良シ良種ノ普及ヲ図ル為メ左ノ通米麦種子交換奨励金交付規程及ヒ米麦品種改良奨励委員設置規程相定メ候条右及通牒候也
明治三十九年四月十一日
千葉県農会
千葉県各郡農会
同 各町村農会
御中
米麦種子交換奨励金交付規程
第一条 本規程ニ於テ種子交換者双方現品ヲ以テスルモノ及ヒ交換者ノ一方ハ現品ヲ以テシ他ノ一方ハ代金ヲ以テスルモノヲ謂フ
第二条 奨励金ヲ交付スルハ米麦ノ種子ニ限ルモノトス
第三条 奨励金ハ米麦共ニ一石ニ付金壱円ノ割合ヲ以テ交換高ニ応シ交換者双方ニ交付ス
第四条 奨励金ヲ受クヘキ交換者ハ県農会又ハ郡農会ノ選定ニ係ル種子供給者及ヒ本県下ノ町村農会ニ限ルモノトス
第五条 奨励金ヲ受クヘキ交換ハ米麦共ニ一口壱斗以上五石マテトシ一ケ年一回ニ限ル
第六条 郡農会ニ於テ町村農会ヘ米麦ノ種子ヲ無料配付シ又ハ代金ヲ徴収シテ配付スルトキハ左記ノ奨励金ヲ交付ス但米麦共ニ一口壱斗以上拾石マテトシ一ケ年一回ニ限ル
一、無料配付ノ場合ハ米麦共ニ一石ニ付金壱円ノ割合ヲ以テ配付高ニ応シ郡農会ノミニ交付ス
二、代金ヲ徴収シテ配付スル場合ハ米麦共ニ一石ニ付金壱円ノ割合ヲ以テ配付高ニ応シ郡農会及ヒ配付ヲ受ケタル町村農会双方ニ交付ス
第七条 奨励金ヲ受ケントスル者ハ本会ニ於テ別ニ定ムル所ノ期限ニ従ヒ郡農会ヲ経由シ左ノ書式ニ依リ本会ニ申請スルモノトス
第八条 前条ノ申請ニシテ本会予算ニ超過スルトキハ奨励金ノ交付ヲ停止スルコトアルベシ
第九条 県農会又ハ郡農会ニ於テ選定シタル米麦種子供給者ノ住所氏名種子名称供給予定石高等ハ県農会ヨリ時々公示ス
第十条 本規程ハ本年麦種子ヨリ之ヲ施行ス
書式 一 略
5 長柄町役場所蔵
米麦品種改良奨励委員設置規程
第一条 米麦ノ種類改良ヲ且ツ良種ノ普及ヲ図ル為メ各部ニ米麦品種改良奨励委員一名ヲ設置ス
第二条 米麦品種改良奨励委員ハ郡農会長ノ推薦ニ依リ県農会長之ヲ嘱託ス但任期ハ一事業年度間トス
第三条 米麦品種改良奨励委員ハ県農会長ノ指揮及ヒ郡農会長ノ協示ヲ受ケ左ニ列記セル事項ノ奨励普及ニ努メ且其成績ヲ調査報告スルモノトス
第四条 米麦品種改良奨励委員ニハ県農会ヨリ若干ノ年手当金ヲ支給ス
第五条 前条手当金及特ニ本会ヘ招集シタルトキノ旅費ノ外ハ総テ諸費ヲ支給セス
左記
一、従来耕種ニ係ル劣悪ノ品種ヲ淘汰シ品質優良ニシテ収量少ナカラサルモノヲ普及シ且水陸稲ニ対スル粳糯早中晩等良品種ノ均斉ヲ図ルコト
一、町村農会ヲシテ普ネク種子交換ヲ実施セシムルコト
一、郡農会ノ協示ニ依リ種子交換及配付ニ関シ斡旋スルコト
一 町村農会ニ於テ採種委員及採種田畑ノ設置ヲ奨励スルコト
一、配付原種ノ耕種ニ係ル実況ヲ調査シテ之ヲ本会ヘ報告スルコト
一、奨励金ヲ交付シタル交換種子ノ耕種ニ係ル実況ヲ調査シ本会ヘ報告スルコト
一、種子交換供給者ノ鑑定ニ関スルコト
6 長柄町役場所蔵
長生郡農産物種子交換会規則
第一条 本会ハ本郡内農産物ノ品質ノ改良増収ヲ図ランガ為メ当業者ノ採収シタル種子ヲ蒐集シ相互交換ヲナシ斯業ノ進歩発達ヲ目的トス
第二条 本会ハ長生郡農産物種子交換会ト称シ長生郡農会之ヲ主催ス
第三条 本会ハ毎年度之ヲ開設シ其会場、開期、出品種目、陳列数量、送附期限等ハ左ノ如シ
一、会場 長生郡茂原町
二、開期
第一期 毎年九月五日ヨリ十日迄六日間
第二期 同 一月十日ヨリ十五日迄六日間
三、出品種目及陳列数量
第一期 麦
第二期 米(籾)菽類
各種一品毎ニ五合以上トス
以上ノ外農産種苗ハ類ヲ問ハズ出品交換スル事ヲ得
四、出品送附期限 各開期ノ五日前迄トス
第四条 出品セントスルモノハ左ノ様式ニ依ル出品目録ヲ開会廿日前ニ本会ニ差出スシ
第五条 開期中ハ衆庶ノ観覧ヲ許シ交換希望者ハ其旨掛員ニ申出ツベシ
第六条 優良ノ種子ヲ出品シ交換ノ需メニ応ジタルモノニハ其数量及成績ヲ調査シ感謝状若クハ若干ノ奨励金ヲ交附ス
第七条 出品物ハ交換現品若シク相当価格ヲ以テ現品ニ換フルモノトス
第八条 本会ニ関スル経費ハ本郡農会負担スト雖モ出品及引取ニ関スル費用ハ出品人ノ自弁トス
出品目録 | ||||
種類 及品名 | 陳列数量 | 出品数量 | 売価 | 購買若クハ交換希望 ノ種子ノ名称及数量 |
備考 | ||||
右及出品候他 明治 年 月 日 氏名印 長生郡農産物種子交換会 御中 |
(注意) 出品数量ハ交換若クハ売却シ得ラルル数量ヲ記載スベシ売価ハ一石ノ価格ヲ記スヘシ
7 農商務省公報一一号、長柄町役場所蔵