[[農地制度の改革]] [[Reform of the farmland system]]

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 前述のごとく農業技術の改善は旧幕府指導下の農政においても、また明治新政府の指導下においても、絶えず為政者としては努力したところであるが、敗戦という大きな試練をくぐり抜けて以後の驚異的な進歩はまことに目を見張るような急激な変転を見せた。これは日本人の能力とか、才能とかをいう以前に、その根底にはその進歩を可能ならしめた大きな変革が行われれていたのである。換言すれば単なる戦後の飢えからの脱却の為の努力ばかりでなく、それを実行する農民の側に、大きな経済力が存在したことである。その力は即ち農地改革という言葉で表現される大きな農村構造の変化によってもたらせられたものであった。これは昭和二十年八月十五日の敗戦の結果であって、日本に対する他国からの強制的な結果であったとは言え、日本の歴史は大きくここに転換したのであって、この実態と以後の変化を冷静に受けとめて、私たちは評価せねばならぬであろう。以下ここに明治初年以降の農地制度の変遷と農地改革の全貌とを明らかにしたいと思う。