農業基本法

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そこで、昭和三六年以降の農政は、この農業基本法に基づいて、従来の考え方を根本的に改めた方向をとったのであるが、そのねらいとするところは、
 1 農業生産性を向上し、他産業との格差を是正すること。
 2 農業生産者の所得を拡大し他産業との均衡をうること。

 以上の二点で、これによって、農業の発展と農民の地位の向上を図ろうとするものである。さて、そのために、どんなことをしたらよいか、七項目ほどがあげられているが、特に重要と思われる四点を示してみると、
 1 園芸や畜産を取入れた農業生産の選択的拡大の方向(米麦オンリーでなく)をとる。
 2 農業経営規模の拡大―土地生産基盤の整備開発と農業の機械化、農地の集団化。
 3 農産物流通の合理化と加工、需要の増進。
 4 環境整備による農業従事者の福祉増進。

 などで、その具体的なあらわれが、「農業構造改善事業」の実施ということである。
 つまり、明治以来「田畑勝手作り」を許し、農民の生産意欲の向上に努めてきたものの、その農業の姿は、零細な耕地の上に、米麦中心の零細経営で、農地改革によって耕地の配分が行なわれたものの、その基本構造に変化はみられなかった。そこで、この法律によって、長い間行なわれてきた「古い農業の構造」を、農地保有の合理化と農業経営近代化によって、計画的継続的に、「新しい農業構造」に改善してゆこうとするもので、そのために行う事業が、「農業構造改善事業」と名づけるものである。