既に述べたように、従来の土地改良事業は、用水コントロールが中心であって、それに関係するいくつかの事業が行なわれたものの、それらは部分的であって、一地域全体の総合的な改良事業には殆んど結び付かなかった。ところが、この事業の特色は、「一地域毎に総合的計画を立て、圃場整備をはじめ農業経営に必要なすべての条件を総合的に改善整備して、新しい農業を建設」しようとするものである。即ちその地域の農業事情に即して、少数の基幹作物を選び、その生産から販売までを近代化してゆこうとするのが目的である。例えば、水稲の場合についてみると、平坦部では、大型トラクターやコンバイン等が使えるよう、三〇アール区画の圃場整理を行い、大型機械を入れ、大型乾燥、調整施設を整えてゆく。果樹でいえば、集団栽培のできる果樹園地の造成、灌漑排水施設、農薬撒布用の配管施設、共同選果場の設置等である。
云う迄もなく、この事業実施には、莫大な資金や資材を必要とするが、これに対しては、国や県の助成が今までにない好遇で、一市町当り平均補助事業費は一億一千万円(昭和四六年現在)で、その五〇%が国の補助となっている。
その他いろいろな財源措置が講じられ、事業の遂行に便益が図られている。