権現森地区

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昭和四六年(一九七一)に農林省は、第二次農業改善次事業の一端として、自然環境の保全とレクリエーションを兼ねた農業を主題に、自然休養村整備要綱というものを発表した。
 これに基づいて、長柄町の四分の一を占める県立自然公園権現森地区を有効に活用し、利益を地元に還元することを考慮し、地元農民と協議を重ね策定したのが「自然休養村権現森地区」である。更に水資源開発公団で建設中の「長柄ダム」と権現森自然林を中心に地域性のある観光複合農業を取入れた自立経営農家の育成を図ろうとするものである。
 事業は、生産基盤の整備事業と近代化施設の整備事業に分けられ昭和四八年から同五一年までの四か年計画である。次にその概要を記してみよう。
 (ⅰ) 生産基盤整備事業
 この事業は上の表の通りであるが、農道の整備は今後に残されている部分も多い。

 
農地造成改良事業二か所
一三、五ヘクタール
自然休養村農道整備事業農道新設二路線 二、一七四米
〃 改良三〃  三、一六〇米
〃 舗装二〃  二、〇〇〇米
事業費一億三千六百万円

 
 (ⅱ) 近代化施設整備事業
 この面については、観光農業に重点をおき、多彩な計画をもっている。その施設の種類は、上の表の通りである。権現森地区農民は、これらの施設を中心に、収入増をはかっている。

 
種類内容予算
椎茸不時栽培施
設及付帯施設
三棟 六四八平方米
浸水施設三基 散水施設一ケ所
一四、二五〇千円
花奔育苗施設十一棟 一七三四平方米その他五、六六二  
養蚕近代化施設トラクター 一台
動力防除機 一台
自動桑剪定機 一台
農機具格納庫一棟 七五六平方米
一、七八三  
一、一〇〇  
一九六  
一、七八七  
蚕飼育所一か所三棟 七八九、五平方米
自動飼育装置 二系列
二四、一四四  
稚蚕共同飼育所一棟 二九七平方米
付帯飼育装置
一九、〇〇〇  
管理経営施設農園経営管理所三か所 三棟
自然休養村センター 一棟
一五、四一〇  
九〇、〇〇〇  
総事業費約一億七千三百万円

 
 尚、自然休養村いも堀農園組合(組合長 大和久徹氏)では、昭和四九年より観光農園を開き、広く県内外より、子供を中心とした観光客が来園し、実績をあげている。
 また昭和五〇年(一九七五)には、町の木である梅を栽培し梅園計画を進めているが、長柄山、中之台の二ケ所に四ヘクタールの広さをもつ梅園で、五五年には、一般に公開される予定である。
 この外、栗拾い、筍ほりなどを始め、花卉、農林産物の直売所等を開設し、都市住民に「豊かな緑、美しい水、澄んだ空気」の自然環境に恵まれた心の憩の場を提供すると共に地元農民の収入の向上を図ろうとするものである。
 自然休養村の組織計画表は前頁に示した通りである。
 

自然休養村組織計画図