次頁の表は、農会から区長や部落民に宛てた通達文書のうち、主として農事改良に関するものを集計したもので、回は通達文書を出した回数を表している。この表から、次のようなことがわかる。
第一に、農事改良の具体的方策が、農事講習会と品評会、共進会方式で始まっていること。
第二に、農業技術に関するものでは、稲作三要項の徹底と、害虫駆除予防、田稗抜取等に関するものに集中されていること。
第三に、種子交換や品種改良、肥料改善などが次第にとりあげられてゆくこと。
第二に、農業技術に関するものでは、稲作三要項の徹底と、害虫駆除予防、田稗抜取等に関するものに集中されていること。
第三に、種子交換や品種改良、肥料改善などが次第にとりあげられてゆくこと。
農事改良「通達事項」件数(役場文書) | ||||||
要項 | 明治 37年度 | 39年度 | 44年度 | |||
1. 農事講習会 | 4 回 | 木炭,桑園 養蚕,その他 | 3 | 落花生栽培 | 10 | 特に多し,稲架乾法,肥料,馬耕,養豚,麦奴予防 |
品評会 2. 共進会 競技会 | 4 | 米,麦,作物 桑園,まゆ,養豚,家畜 | 8 | 戦捷記念,(全国 県,郡,町村) 功労者表彰 | 6 | 馬耕競技会 米俵袋競技会等 |
短冊苗代 3. 正条植 塩水撰 | 5 | 4 | 塩・なわなど共同購入 | 3 | 塩(58俵×67銭) 共同購入 | |
4. 害虫駆除 予防 | 8 | 8 | 誘蛾灯設置,(県取締条令改正) | 5 ・ 1 | 鳥獣駆除 | |
5. 品種改良 種子交換 | 2 | 6 | 種子交換奨励,落花生 | 4 | 蔬菜種子,麦種子,桑苗,紫雲英 | |
6. 肥料 | 2 | 共同購入 | ||||
7. その他 | ・米麦改良組合成立(部落) ・苗代取締規則発布 | ・稲作改良害虫駆除予防監督員設置(郡農会) | ・暗渠排水工事奨励 |
最後に、注目すべきことはこれら諸施策の励行が、すべて上からの命令監督によって、農民に強制的に行なわれそれに反する者を処罰したことである。また部落単位に徹底させるために、米麦改良組合の組織の結成を促してはいるか、ここでも地主を中心として、農民の活動をしばりつけ、米穀検査制度(大正二年)の実施によって、それが更に強化されてゆくのである。以下それらの内容を、具体的な文書に即して検討してみることにする。