郷土の農事実行組合

280 ~ 282 / 756ページ
農会の下部組織として各部落単位に設置された農事実行組合は、明治三四、五年頃から結成され、農事改良のいろいろな活動を行なっている。その一、二をあげてみると、上表の通りである。
 
結成年月組織名
明治三五、 二、 一
 〃 三五、 四、二九
 〃 三六、 四、一五
 〃 三五、 五、
 〃 四三、一〇、 三
長柄山稲作改良励行組合
刑部稲作改良励行組合
徳増稲作改良励行組合
長柄村害虫駆除組合
長柄山稲架麦架乾燥実行組合

 
 この頃、郷土のその他の部落でもこのような組織をつくって活動をしていたと思われるが、その規約や名称の示しているように稲作三要項や害虫駆除予防、稲架乾燥法の励行などにあったことが明かである。
 次に、刑部の規約を示しておく。これによって、その活動を推測することができよう。
 
   稲作改良励行組合規約書
第一条 本組合ハ稲作改良ノ励行ヲ期スル為メ設ク
第二条 本組合ハ長生郡水上村刑部区稲作改良ノ励行組合ト称シ本町村農会監督ノ下ニ立チ農家ヲ以テ組織スル
第三条 本組合ノ事務所ヲ水上村刑部(□□)(欠)設置ス
第四条 本組合ハ左ニ列記スル稲作三要項及害虫駆除予防ヲ励行スルモノトス。
 一、塩水撰種 一、短冊苗代 一、改良植 一、螟虫駆除予防 一、浮塵子駆除予防 一、前項ノ外被害著キシ害虫ノ駆除予防
第五条 本組合ニ左ノ役員ヲ置ク但名誉職トス
  委員長 一名
  委員  若干名
  技術員 若干名
第六条 役員ハ組合ニテ相当ノ資産並名望ヲ有シ実業ニ熱心ナル者ヨリ組合総会ニ於テ之ヲ選挙ス
第七条 委員長ハ組合一切ノ事務ヲ総理ス
 委員ハ委員長ノ指揮ヲ受ケ組合事務ヲ処理ス
 委員長事故アルトキハ年長委員其ノ事務ヲ代理ス
第八条 技術員ハ委員長ノ指揮ヲ受ケ協力シテ励行事業ノ技術ヲ指導スルモノトス
第九条 役員ノ任期ハ事業ノ完成トス
第十条 役員ハ耕地ヲ巡視シテ事業ヲ督励シ且実地成績ヲ調査シテ之ヲ本町村農会長ニ報告スルモノトス
第十一条 委員長ハ役員会ヲ開キ事業執行順序ヲ定メ之ヲ組合員一般ニ通知スルモノトス
第十二条 組合員ハ委員長ノ通知ヲ受ケタル時ハ直ニ事務ヲ着手スベシ
第十三条 組合員ハ農事ヲ廃止スルニアラザレバ組合ヲ脱スルコトヲ得ズ
第十四条 本組合ハ総会及役員会ヲ開ク
第十五条 総会ハ組合員全体ヲ以テ役員会ハ委員長委員及技術員ヲ以テ組織ス委員長之ヲ開閉ス総会ハ組合員ノ三分ノ二以上ノ請求ニ依リ之ヲ開ク事ヲ得
第十六条 総会議決スヘキ事項概ネ左ノ如シ
 一、組合規約変更スル事
 一、組合経費ノ収支予算ヲ定メ決算ヲ承認スル事
 一、役員選挙スルコト
  前項ノ外重要アル事項
第十七条 役員会ハ事業執行順序方法其他総会ノ議決ノ要セザル事項ヲ議定スルモノトス
第十八条 本組合ノ会議ハ委員長其議長トナル委員長事故アル時ハ年長委員之ヲ代理ス
第十九条 総会ハ組合員半数以上出席セザレバ開会スル事ヲ得ス但同一事件ニシテ再会召集シ尚ホ半数ニ満タザル時ハ此限リニアラズ
第二十条 会議ハ出席員ノ過半数ニ依リ之ヲ決ス可否同数ナルトキハ議長之ヲ決ス
第二十一条 本会員ニシテ本規約第十二条ニ違背シタル時ハ委員長ハ町村農会長ノ承諾ヲ経テ五十銭以上三円以下ノ過怠金ヲ徴収スルモノトス但徴収シタル過怠金ハ組合費用ニ充ツ
第二十二条 規約ヲ確定シ若シクハ変更シタル時ハ町村農会長及郡農会長ニ報告スルモノトス
 右確実ヲ証スル為メ組合員一同署名捺印ス

 
神崎倉吉宮崎新五郎
神崎又一郎神崎惣平
前橋兵吉宮崎勘蔵
鈴木惣吉 不在ニ付欠印伯耆原成三
篠原卯之太郎伯耆原清八
篠原市松伯耆原清佐
神崎作治郎伯耆原金治郎
井川伝蔵前橋久五郎
井川新次郎鈴木紋蔵
三上弥太郎白木覚蔵
白木安五郎篠原長太郎
鈴木喜平伊藤新吉 不在ニ付欠印
井川貞治郎神崎清吉
井川富蔵鈴木久松
前橋平治郎前橋常吉
内藤徳三郎谷剤司
竹内万司郎内藤重治郎
加納市郎次 欠印
鈴木勘四郎
篠原喜三郎 長太郎代印

 
 右明治三十五年四月二十九日本谷総会ノ上捺印シ翌三十日本区長月岡福寿方ヘ差出申候事