明治以来、水上だけでなく、日吉も長柄も木炭の製造は農家の副業として重要なものであった。大正四年(一九一五)旧長柄村林産物の状況(3)(表5)をみると、木材のほか薪、炭、竹材等が多く産出されている。その後昭和八年(一九三三)には、木炭増産奨励のために、炭窯の構築者に補助金を出している。(4)窯は茨城式というもので、大きさは、さまざまであるが、小さいものは、たてよこ六尺で製炭量、一窯三二貫位から、大きなものでは、たてよこ八尺で、八五貫位のものまであった。補助金は、すべて三円五〇銭となっていた。二二名が補助をうけている。そして翌九年には、更に二二名が補助をうけているので、この窯は、効率が良かったものと思われる。
表5 旧長柄村森林(大正4年4月) |
普 通 山 林 | 種 別 | 森 林 | 柴草山 | ||
公有林 | 7町6反 | ||||
社寺林 | 22 2 | 2町7反 | |||
私有林 | 11 18 4 | 25 0 | |||
計 | 11 48 2 | 27 7 | |||
森 林 植 栽 | 種 別 | 面 積 | 樹 数 | 植栽費 | |
扁 柏 | 1町2反 | 3,600本 | 30円 | ||
松 | 5 5 | 15,015 | 165 | ||
杉 | 3 0 | 8,500 | 75 | ||
櫟 | 8 5 | 25,500 | 255 | ||
計 | 18 2 | 52,615 | 525 | ||
森 林 採 伐 | 種 別 | 数 量 | 価 額 | 平均単価 | |
用 材 | 1,400尺〆 | 6,450円 | 4円66銭 | ||
薪炭材 | 650棚 | 2,200 | 3 38 | ||
竹 | 12,000束 | 3,600 | 30 | ||
計 | 12,250 | ||||
副 産 物 | 薪 | 40,000束 | 1,200円 | ||
炭 | 31,800貫 | 636 | |||
計 | 1,836 |
その後、木炭の製造は一層盛んとなり、昭和二六年県副業統計によると、木炭生産、日吉四千俵、水上一万俵、長柄一万二千俵となっている。その後、木炭や薪は、他の燃料にとって代られ、労働力の不足と相まって、次第に減少の一途を辿ってゆく。昭和三三年の本町の林産物(表6)表をみると、木炭は、一万四千百五〇俵で、二六年の約半分である。
表6 林産物(昭33 長柄町資料) |
種 別 | 生産高 | 販 売 高 | |||
数 量 | 金 額 | ||||
用 材 | 針 葉 樹 材 | 赤 松 | 4,849石 | 4,650石 | 6,045千円 |
黒 松 | 2,849 | 2,460 | 2,998 | ||
杉 | 16,291 | 15,450 | 27,810 | ||
ひの木 | 1,950 | 1,270 | 1,270 | ||
その他 | ― | ― | ― | ||
小 計 | 25,939 | 23,830 | 38,123 | ||
合 計 | 25,939 | 23,830 | 38,123 | ||
竹 材 | 39,560束 | 32,450束 | 4,867 | ||
薪 | 38,743束 | 26,500 | 1,060 | ||
木 炭 | 種 別 | くぬきならかし | 10,650俵 | 9,860 | 3,747 |
雑 木 | 3,500 | 3,160 | 758 | ||
計 | 14,150 | 13,020 | 4,505 |
最近の林産物として注目を集めてきたものに、栗、椎葺、筍がある。何れも、急速な伸びを示している。
椎葺の栽培は、旧長柄村が特に盛んであるが、昭和二七年(一九五二)には、長柄だけで六七〇貫の生産をあげている。その後椎葺組合が結成され、昭和四〇年には、組合員も三五名になっている。