草鞋は「わらぐつ、わらんず」といい、わら製のはきもののことである。『日本史辞典』(岩波書店)によると、草靴は、平安初期までは、糸鞋(しいか)麻鞋と同様、沓(くつ)の形式で下級の所用として簡便化して、藁をあんだ底に乳(ち)をつけ、鼻緒を通して足の甲にからむ様式となり、随身の乱緒や修験者の八目のわらじを生じ、鎌倉末期には、武士も軍陣に使用し、その後一般庶民の労働や旅行用に用いられた。「わらじをはく」というと旅に出ることをさしたのもその為である。また「ぞうり」も古くから用いられ、農家では、つい最近まで、自家製のものを利用していた。しかし一般農家で販売するほど作っていたわけではなく、これらを副業として考えるまでには至っていなかったと言えよう。
ぞうり造り道具