(2) 講と無尽 (2) Mutual aid financing associations

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 「講」とは、一定の講員がより集って懇親し、共同飲食する社会集団で、その機能の上から、信仰的(宗教的)なものと、経済的なものに二大別されると、桜井徳太郎氏は言う。(5)次にその内容を示すと、
信仰的(宗教的)講集団① 日本民族の原始信仰を母胎として結成されたもの=山の神講、庚申講、日待講など。
② 氏神を中心に氏子集団の結成している講=宮座講、奉射講、鎮守講など。
③ 村内にある観音堂とか地域の家を座にして行う講=観音講、子安講、天神講など
④ 地域外の寺社参拝の為の代参謂=伊勢講、成田講、出羽三山講など。
経済的講集団① 金融を目的とするもの=頼母子講(無尽)布団(寝具)頼母子、かや無尽など
② 大工、左官など特殊な職業者の組織するもの=太子講など

 さて郷土にも、明治以降に於ては、次のようなさまざまな形の講や無尽が行なわれていた。これらは、現金収入の少なかった農村で互助組合的な役割を果していたもので、個人では一時にはかなえられない買物(自転車、蒲団肥料など)や参詣(三山まいりや伊勢まいり)の楽しみを仲間と同じように楽しむことができるところに意義がある。また共同で債券を買って、その当りくじの利益が入れば共同で分け前をとるようなやや投機的なものや、不時の災害に備えるための共同貯蓄制など、農民の生活の知慧とも言えるものである。次にその実際についてのべてみよう。