明治以来現在までの教育行政の移り変りを眺めてみると、戦前と戦後では、全く対照的になっている。現在は、教育委員会が地域住民の意志をくみとって教育行政を行っているのに対し、戦前は、町村に学務委員が設置されてはいたものの、住民のねがいを行政に反映させる機関というよりは、上からの命令を忠実に実施する機関にすぎなかった。したがって学校は文部省を頂点とするたくさんの監督機関によって命令監督されていた中央集権的な教育行政のもとにあったわけである。
しかし、同じ戦前でも、明治一八年以前と以後とでは、その程度にちがいがあるし、戦後でも、公選制と任命制の時代では、大きな変化がみられるのである。そこで次に、戦前と戦後に分けて、教育行政の移り変りと、郷土の姿を辿ってみよう。