1 すすむ高齢化 1 Ongoing aging population

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 表2は、本町の昭和五五年末(一九八〇)六〇歳以上の高齢者数を示したものである。これによると、六〇歳以上が全人口の約二割で、八一歳―九〇歳が一六三人で二%、九一歳以上が五名となっている。
 
表1 長生郡高齢者調(大4.10.2日)長生地方事務所
町村名80~9091~99100以上町村名80~9091~99100以上
東浪見24豊 田261
大 東294二 宮111
一 宮242茂 原321
土 睦472長 柄21
一 松431日 吉13
八 積282水 上4
高 根251西2831
東 郷421291
291鶴 枝193
白 潟272豊 栄151
南白亀20五 郷251
豊 岡38庁 南20
本 納431
新 治18680291
(年齢は数え年)

 
 ところが、大正四年(一九一五)一〇月長生地方事務所の調査によると、八〇―九〇歳が、長柄・日吉・水上三村合計で三八人で、九〇歳以上は一人もなく、水上村に至っては八〇歳以上が僅か四人という、郡内最低を示している。(表1)
 
表2 60歳以上高齢者数 55年12月末(人口・7722人)
     年齢区分
要項
60~70歳71~80歳81~90歳91歳以上
人       数89845316351,519
全人口に対する割合11.6%5.8%2.1%19.7%

 
 そこで、更にさか上って、古い資料を捜したら、明治六年(一八七三)の「戸籍加除御届綴」(内藤正雄家蔵)という冊子がみつかった。その死亡統計(表3)によると、総計四六人中、最高年齢七九歳で一人次いで七八歳、七七歳が各一人、七四、七三歳各一人六一歳―七〇歳が一〇人、五〇歳以下が二七人で死亡者の五八・七%に及んでいて、一〇歳以下の幼少年の死亡率も高い。これと、昭和二四年(一九四九)の統計(表4)と比べてみると、水上の場合、死亡数は殆んど変っていないが、出生数は、大幅に増加していて、乳幼児の死亡も次第に減少の傾向を示してきた。しかし、三村合計すると死亡数は一四八人で、出生数は三一七人と極端に多いのは、復員者がどっと家庭に帰ったためであり、死亡の状況は、戦前とほとんど変化はしていない。
 
表3 明治6年水上村死亡者数
年令1~34~1011~2122~3031~4041~5051~6061~7071~80

3
3
3
1
2
1
3
3
 
4
4
 
2
2
6
4
3
2
26
20
小計643644410546
備考 出生56人(うち男32 女24)

 
 
表4 昭和24年人口動態(千葉県衛生年鑑・県衛生部)
 出  生死  亡胎児死亡
出生数割合死亡数胎児数
長柄村14633.6%6314.5%1170.1%
日吉村7727.1 3612.7 337.5 
水上村9431.3 4916.3 769.5 
郡平均26.6 13.2 69.4 

 
 ところが、表5をみると、昭和三五年を境に、出生も死亡も年々減少している。その原因は、一体何に因るのであろうか。
 
表5 人口の動態(単位人)
区 分出生死亡自然増加転出転入社会的
増減
昭和31年度16694721313992
昭和35年度20713968313126187
昭和40年度837013303190113
昭和45年度7883△  531721998
昭和50年度1147935302233△ 65
昭和51年度83776288237△ 51
昭和52年度975740235266△ 31

 
 太平洋戦争の中頃迄は、保健衛生の仕事は、警察署の管轄するところであって、年二回の大掃除と天然痘の予防接種が通例の仕事であった。だから、見巡りの時だけ清潔にしておけば後はどうでもよかった。その為一度伝染病が発生すれば忽ち広がり手の施しようもなかった。医療制度も整っておらず、一般農民は医師にかかる費用も出せないので、家伝薬や富山の売薬、おまじないに頼るしかなかった。その為、伝染病や結核は住民の最も恐れるところであり死亡率も高かった。ところが、終戦後は、進駐軍の強力な指導、福祉行政の向上、住民の自覚等によって保健衛生に対する考え方も急速に進歩向上し、現在の如き、高齢化社会を現出したということができよう。
 表7と表8は、死因別の死亡者数を表したものであるが、死亡数がぐんと減少しているだけでなく、病気も大きく変化していることが明かにわかるのである。特に、脳出血や心臓疾患が極めてふえているが、結核はその逆である。表6が、そのことを表している。これは、毎年行なわれる住民検診やすぐれた医薬品の開発などが与って大きな要因となっていることは、言う迄もない。
 
表6 結核検診実績
年度31323334353637383940
対象人員5,9905,9786,0386,0916,3756,4006,2276,1596,0305,717
実施人員3,8253,6303,8655,3795,6855,4115,9135,7614,7735,119
%
実施率63.860.76488.389.184.594.993.579.289.5
精密検診者9692816511814612198127120
発見患者15121715232000
要注意者212018131817612192

 
 
表7 主要死因別死亡数(昭和30年中)
死因別死者数死因別死者数死因別死者数死因別死者数
中枢神経系の血管損傷25人肺 炎7人腎 炎5人肝硬変3人
悪性新生物9 不慮の事故2 胃潰瘍3 先天奇形1 
老 衰10 十二指腸及大腸炎3 気管支炎5 他 殺1 
結 核7 新生児の疾患6 高血圧症8 その他11 
心臓疾患7 自 殺1 赤 痢3 117 

 
 
表8 死因別死亡数(40年1月~12月)
脳出血脳いっ血17高 血 圧6
心臓疾患13胃 が ん5
老   衰9そ の 他20
   合   計70

 
 現在、最も恐しいのは、「がん」と高血圧であろう。この面についても毎年住民検診が実施されるようになったが、未だ、全員に実施する迄には至らない。
 表9は、がんの検診結果を表したものであるが、実施人員もごく僅かであり、然かも、早期発見がむつかしく、治療の方法も確立されていないのが現状である。今後更に、この方面の住民検診や治療の研究が要望されている。
 
表9 がん検診結果(単位人)
区 分38年4045505152左の割合
実施人員172221247236109199100.0
異状なし61931691135912964.8
胃下垂48477452713.6
胃 炎81617202342.0
胃かいよう11191412342.0
十二指腸かいよう10457121.0
胃がん
その他42423539263316.6