4 家伝薬 4 Family recipes for medicines

588 ~ 590 / 756ページ
 医療の発達しない幕末から明治にかけて、その重要性を増したのは、家伝薬である。本町では、長柄町山根の遠藤猶さんの調剤になる、ぢの薬で「茶胆散」というのがあった。相当に長い間研究し実験され、国や県でも認められたもの。その効能等は、五九〇頁の如くである。
 
  官許茶胆散について(効能書き)
 本薬は今を去る数十年前よりの家伝薬として其の効験の著しきこと夙に世人の之を知るところなり。
 近時医術の発達と共に諸種の売薬多数ありと雖概して其の効少く或は只一時を補ふに止まり若くは反って用ひざるの弊なきに如かざるが如き例なきにしも非ず
 本薬は数十年来特に実験せし奏効確実なる保証薬なれども調合多種にして原料の貴重なるもとより掲示の如く簾価に販売し難しと雖も只家伝を重んじ聊か世上を済ふ微衷に出でしものなり。                  謹白
 一、主治効能 痔疾一切によし
 二、用法 大人は一日一帖を三回に分けて人乳汁にて練り痛所へ塗用すべし、小児は大人の半量とす
 三、注意 本薬使用中は油物類糯類は禁ずべし。
 四、薬価 一帖入 参拾銭

      二帖入 五拾銭
 

(免許証・千葉県を経由している)

 

(薬袋の表書き)