2 老人クラブ 2 Seniors' Club

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 現在老人クラブは、各市町村とも優れた活動をつづけているが、その発祥は、既に明治の後期にあったといわれている。それは、明治三四年(一九〇一)一一月発行、堀内新泉著『老人読本(鶴之巻)』(水上小学校蔵)に、「老人倶楽部」という項目がある。その一部を記すと、「京阪地方の或村に老人倶楽部と申しますのが既に両三年以前から成り立っておりまする。発起人は、その村の村長の御隠居様で、福田豊哉と云う素直に年よられた老人でございます。先づ老人の集会所には、大楽寺と云う寺の一堂を借りうけ、ここを会合の場と定め、不断は、素直に老人の役目を果した上で、月一回若しくは二回位づつ集合し、その一回は名僧知識を招待して、未来後生の一大事を聞いて心を安んじ、また一回は四季折々の野菜物を下物(さかな)にして、少しばかりの酒をくみ、種々の話しでもしてお互に心を慰め合うことにした。然しこれには多少の費用がかかるので、一人月三十銭宛出すことにした。そして会費は、一部を貯金し会員の不幸をなぐさめるに使う。会費三十銭は草鞋十五六足分の価であるので、老人の力でかせぎ出そう。」という内容である。当時は老人の数も、そう多くはなかったわけであるが、現在では、老人(六五歳以上)人口は極めて多い。即ち、大正九年(一九二〇)以来四〇年間に亘り、四~五%にすぎなかったものが、二三年頃から上昇を示し、三八年には六%をこえ、この傾向は年と共に上昇の一途をたどっている。
 
(町内老人クラブ名と会長名)
      (昭和50年現在)
クラブ名会長名クラブ名会長名
町老連会長篠田芳重日吉第一老人クラブ渡辺喜明
睦和老人クラブ遠藤義雄日吉第二老人クラブ阿部勝
三和老人クラブ里須源一日吉第三老人クラブ大野弘司
北部長寿老人クラブ三枝峯蔵日吉第四老人クラブ三橋胤雄
西部老人クラブ山口山三郎水上南部老人クラブ星野実之吉
 連合会役員名
  会長  篠田芳重
  副会長 三橋胤雄
   同  遠藤義雄
水上東部老人クラブ大野光司
水上西部老人クラブ三橋健一郎
水上中部老人クラブ安藤末義

 
 昭和三四年四月には老齢福祉年金制度が制定され、七〇歳以上の老人に対し、年金(年額一二〇〇〇円)が支給されるようになった。更に三八年八月には、老人福祉法が制定され、老人に対し、多年に亘り社会の進展に寄与してきた者として、その心身の健康保持と生活の安定が講ぜられるようになった。
 更に四一年六月には、老人の福祉についての関心と理解を深めると共に、老人自体としても、自らの生活の向上を促すために、「敬老の日」を国民の祝日として制定した。
 この法律制度を機として、各地で、老人自体の老後の生活を豊かにし、意義あるものとするため、老人クラブの結成をみるようになった。結成されたクラブに対しては、国、県、町村から補助金が出るようになっている。
 長柄町でも、昭和三八年から四〇年の間に前記の如く一三地区にクラブが結成され、昭和四四年には連合体もできて、活発な活動をつづけている。
 

刑部バス停(老人クラブ寄贈)

 今後老人の増加と共にこのクラブの活動は大いに注目されるところである。この外、遺族会、母子福祉会など、それぞれ、すぐれた活動をつづけている。
 
 註
 (1) 教育社新書『厚生省』五三頁
 (2) 同前 五四頁
 (3) 同前 二三五頁