房総導水路事業計画

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簡単に言えば、利根川の水を長柄ダムまで導く水路とそれに附帯する諸施設を造る計画のことで、長柄ダム建設もこの計画の中に含まれている。この導水路工事は、二つの大きな部分に分けられている。
 (Ⅰ) 佐倉市粉名――栗山川取入口=共同施設
 (Ⅱ) 栗山川――長柄ダム=新規専用施設

 (Ⅰ) 共用施設の工事計画
 佐原の樋門から横芝町地先までは、既に両総用水の導水路が作られている。これを利用するわけであるが、これだけでは不足なので、通水量毎秒三m3を増量するため、施設の拡張と改修工事の計画である。その内容は、表4の拡張及び改修計画に示した通りである。

 

房総第一揚水機場取水施設

 

横芝にある第一揚水施設

 
表4 共用施設
種  別計画断面延 長規  模拡張,及び改修計画
利根川樋門m2/S
14,485
 
m

 
 
3m×3m 1門
3m×4m 2門
第一導水路14,485約990制水門1ヵ所浚渫
第一揚水機場14,470φ1,200mm
ポンプ 5台
総揚程23.0m
ポンプ2台増設
北部幹線水路14,470約7,530総揚程22.5m17.47m2/Sを通水可能とする
栗山川疎水路約11,820改修,補強する
栗山川河川利用区間約11,270
横 芝 堰ローラゲート
  m  m
7.74×2.21 4門
自動化

 
 (Ⅱ) 新規・専用施設工事計画
 栗山川から、東金ダムを通り、長柄ダムまでの延長約三六粁の導水路工事が新規に計画されたものである。通水量は、毎秒最大一三m3で、横芝と大網の二か所に揚水施設を施すことになっている。前表5は、その規模を示したものである。なお、第一導水部とは、横芝―大網間、第二導水路は、大網―長柄間をさしている。この工事の施工は、水資源開発公団、房総導水路建設所が受持っている。工事の進行は、石油ショックにより大幅に遅れたが、現在急ピッチで進められている。
 
表5 専用施設
種  別通水量延 長規   模
幹・導水路13.0m3/S・35,350m隧道,暗渠,サイホン,送水管,放水路工
横芝揚水機場揚水量
13.0m3/S
φ1,100mm,1,850kW,ポンプ4台
総揚程約45m
大網揚水機場揚水量
13.0m3/S
φ1,200mm,4,000kW,ポンプ3台
総揚程約70m
長柄ダムアースダム,堤高52.0m,堤頂長250m,総貯水量10,000千m3,有効貯水量9,600千m3
東金ダムアースダム,堤高28.8m,堤頂長241.5m,総貯水量2,300千m3,有効貯水量2,200千m3,φ600mm,ポンプ1台

 
 さて、長柄ダムから先の千葉木更津方面への送水工事はどこで行うかというと県が行うことになっていて、導水路工事の施工者とは別であるという。しかし、この工事の完成によって、九十九里地域や京葉臨海工業地域の工業や膨大な住民の生活にすばらしい恩恵を与えることであろう。そして、わが長柄町にもまた観光や文化の上に大きな影響を及ぼすことと思われる。
 

長柄浄水場全景