日本の文学は、明治の政治形態の変革と共に従来は拒否していた泰西の文化の奔流のごとき流入のなかで徐々にその姿を変え、明治二〇年以降は旧態を脱して新しい文学が詩歌小説演劇の各面に渤興したが、その原動力の重要な中心人物の一人は正岡子規であった。その子規が若き日に、この長柄を徒歩で横断し、わずかではあるが、数行の記述をのこし、その俳句作品が記録されて今日にのこされていることは、この地に関する文学資料の乏しいなかでは特に尊重されねばならないであろう。
一 文学に描かれた長柄 1 Nagaramachi depicted in literature