/ 922ページ

 

 「中津川市史・上巻」が、原始、古代(一)・(二)、中世と編別されて昭和四十三年三月に刊行され、その後十年を経て、昭和五十四年に近世史料を中巻別編として刊行してから、既に十年が経過しましたので、関係者の中には中巻通史の刊行に対して待望久しいものがありました。このたび地元に残っている膨大な資料を、長期に亘って蒐集・調査研究して、市史・中巻が刊行されることになりました。この間いずれも本務をお持ちの編さん員の先生方の大変なご努力に対して、改めて深くお礼申し上げるとともに、貴重な資料を提供していただきました方々に対しても厚くお礼申し上げたいと思います。
 昭和六十二年は、中津川市制三十五周年の節目の年でもありましたので、これを記念するための多くのイベントが持たれました。中津川市菓子まつり、消防百年記念大会、夏祭り、第九をうたう会など、いずれも盛会で市内外の大きな評価をいただきました。殊に夏祭りは、この年から「おいでん祭(さい)」と改称して、その中心となった「風流おどり」は、苗木遠山家の土蔵から発見された絵図からNHK等の専門家によって現代風にアレンジしたもので、全市各地区からの参加を得て中津川駅前広場で行われました。この時の人出は約七万人といわれ空前の催しとなりました。
 これらの諸行事を通じて感じました事は、中津川市の過去長きに亘って蓄積された民力の伸長でありました。永遠に続く中津川の歴史の中では、ほんの一コマにすぎない市政三十五周年の歩みではありますが、これからの中津川市史の中で語り継がれていくことを期待してご挨拶といたします。
   昭和六十三年三月
                   中津川市長 小池 保