家臣団の身分的序列を示すものが格式である。格式は家臣の仕官の事情・奉公や功績度によって位置づけられるのが一般的である。苗木遠山家ではどんな風に格づけられていたか「分限帳」に見る限りでは「給人通」・「中小姓通」・「徒士通」・「足軽」・「中間」・「下男」に区分されている。前三者を三格といい、士分といわれる階層である。
このそれぞれの格は、原則として世襲であるが、昇格・降格等家格の移動はなかったか。文政一〇年(一八二七)の「御給人通諸士名鑑」によると、中小姓から給人に、また破格の立身は足軽から徒士に、さらに中小姓格、そして給人へと昇格した例もみられる。しかしそうした例は、そんなに数多くあるものではない。
格式による上下の関係は厳しく、諸礼は身分相応で城中の礼遇・役職任用・屋敷構え等は勿論、日常生活の衣・食・住にいたるまで、あらゆる面で上下の区別があった。特に財政が苦しくなるに従って、しきりに倹約令がくり返され、内容的には衣類の倹約規定が詳細をきわめた。