| | 遠山家年事行事 |
正月 | 元日 | 六ツ時(六時)諸士幷足軽・中間出仕する。 |
| | 家老・用人・御用人・医師年頭祝一人ずつ申上 盃下される。 |
| | 武頭始諸士一統一人一人でお祝申上げ そののち御流・雑煮を頂戴。 |
| | 足軽以下御礼 支配頭へ申上げのち雑煮を頂戴。 |
| | 下書役・下料理人お役通りかかりお目見、年頭のお祝を申上げる。 |
| | 大工棟梁・町年寄・幷出府町人台所で年頭のお祝を申し上げる。 |
| | 伊勢神宮へ代参のため扈従一人出立する。 |
| 二日 | 雲林寺 佛好寺へ佛参り。 |
| 三日 | 給人・中小姓・徒士の部屋住出仕、年頭のお祝申上げる。 |
| | 六ツ時(夕方六時)諸士一統出仕、謡初め 鯨吸物と酒が出る。 |
| | 五ヶ坂下、蛭川村々の庄屋・組頭・披官・長百姓・神明神社可知若狭正 台所で年頭のお祝い 書院で蛤の吸物と酒が出る。 |
| 四日 | 南方中通村々 三日と同じ。 |
| | 寺方(雲林寺・龍王院・彿好寺・正岳院・天王院・福壽院)書院で年頭お祝い申上げる。 |
| 五日 | 北方村々右同様。 |
| 七日 | 五ツ時(八時)揃って日々お礼に諸士、足軽以下出仕する。 |
| 九日 | 村々寺方 書院で年頭のお祝を申上げる。 |
| 一一日 | 四ツ時(一〇時)諸士一統足軽迠出仕し、具足の祝餅下される。 |
| | 役替始あり。 |
| | 伊勢代参下向、お目見有り、年頭のお祝のち御流・雑煮を下される。 |
| 一三日 | 寄合日始 家老・用人・諸役人出仕する。 |
| 一五日 | 五ツ半時(九時)上元のお礼に諸士、足軽以下出仕する。 |
| 一六日 | 七ツ時(午前四時)城中で大般若経祈禱 龍王院・三井寺[坂下町]・雲台寺[福岡町]が出仕し、書院で転読。 |
| | 結願には重役も一人相詰、終了後即刻お供つれ、神明宮・八幡宮・龍王権現・古龍王八幡宮へ社参し、帰城後本丸天守に入られることもある。 |
| 一九日 | 友政公の忌日(命日)簡単なお供で雲林寺へ佛参り。(この後も代々の忌日に佛参りがあるが省略する。) |
| 中旬 | 江戸表より年頭の初使着く。諸士一統出仕。 |
二月 | 四日 | 諸士始足軽以下下々まで知行切米春取替の手形 金奉行より渡され調印の上代官へ差出す。 |
| 八日 | 諸士部屋住勤 切符金の者・春取替金、金奉行から渡る。 |
三月 | 三日 | 五ツ時(八時)揃って上巳(じょうし(み))のお礼に諸士並に足軽以下出仕。 |
| 中旬頃 | 在城の際は参勤が近づいているので、神明宮・八幡宮・龍王権現・古龍王八幡宮へ供をつれ社参り。 |
| 二五日 | 参勤江戸表へ発駕。但木曽川出水で渡舟出ないときは、日延べとなり、渡舟出来次第仰出られる。諸士幷足軽は上地渡舟場迠見立に出る。 |
四月 | 中 | 江戸表よりお使い着く、道中の無事、参勤のお礼首尾よかったこと、諸士一統出仕しお喜びを申上げる。 |
五月 | 五日 | 五ツ時(八時)揃って端午のお祝 諸士幷足軽以下出仕。 |
五月 | 上旬頃 | 江戸表よりお城着きの日 |
| 一六日 | 七ツ時(午前四時)より城中、大般若祈禱有り、正月一六日の通。 |
六月 | 土用 | 諸士一統出仕 お機嫌伺い。 |
七月 | 七日(入三日目) | 五ツ時(八時)揃 七夕のお礼 諸士幷足軽以下出仕。 |
| 一四日 | 在城の節は雲林寺、佛好寺へ佛参り。 |
| 一五日 | 中元の御礼 盆中につきなし。 |
八月 | 朔日 | 五ツ時 揃八朔のお礼 諸士幷足軽以下出仕。 |
| 二八日 | 龍王権現祭礼に社参り。 |
九月 | 九日 | 五ツ時、重陽のお礼 諸士幷足軽以下出仕。 |
| 一六日 | 今暁七ツ時(午前四時)城中で大般若祈禱 正月十六日の通り。 |
十月 | 上亥の日 | 玄猪のお祝い、夕六ツ時(午後六時)揃にて諸士一統出仕お祝い餅、手目下される。 |
一一月 | 四日 | 今日諸士始足軽以下まで知行・切米・冬渡之手形金奉行より相渡る。調印の上代官へ差出す。 |
八月頃より一一月頃迠 | 朱印蔵にある代々の朱印幷宝物、刀剣の類、奉書等虫干し 重役衆、勝手方は出仕する。 |
一一月 | 二九日 | 村々より貢納米、代金納の相場は近辺の米直段の相場平均で諸役人立会の上、直段相場がきまる。 |
一一月 | 中旬頃 | 年々領内貢納米、其外臨時金、諸運上金等幷在・江戸入用金拂高差別諸士幷足軽以下知行、切米、切符金、年内人数増減一紙に結び勘定仕立帳御在城之節御一覧有之。 |
一一月 | 中旬 | 諸役所貢米・金銀諸品出入勘定相改始ル 相済一紙勘定調ニ取懸り年内中ニ出来ス。 |
一二月 | 八日 | 江戸勤番部屋住勤の者、切符金 金奉行より渡される。江戸定府幷切米取にて勤番の者へ追々代官より渡され、お歳暮使に差下す。 |
| 一三日 | 煤はらいで、日比野村より人足が出され、台所を始め、その他煤はらいがある。また瀬戸村より、正月松飾りの松人足が、城へ持運び、松杭等つくり用達をする。 |
| | 正月の年男、重役の内一人仰づけられる。 |
| 一五日 | 江戸表へお歳暮使出立 江戸表の冬の仕拂金幷荷物等差下される。 |