尾張領においては、国奉行役所に国奉行を置き地方事務を取扱った。その下に郡奉行があり、給知(家臣に与えた土地、つまり知行地-采地(さいち)ともいう)を管理し、直轄領(蔵入地)を管理するには代官があった。
郡奉行は国奉行役所で執務したため地方の事情にうとく、しかも手代(代官の下役)まかせであったから、天明元年(一七八一)第九代城主宗睦(むねちか)の時、国奉行役所の画期的改革を断行して、
(1) 代官所(陣屋ともいう)を領内一一か所に設置し、その所管の村むらを定めた。
(2) 代官を駐在させて、直接村役人に接して租税、訴訟、土木、警察などの処理をさせた。
(3) 郡奉行 水奉行 野方奉行などを廃止して、その所管事務を一括して代官に取り扱わせた。
等が、その改革の要点であった。