公儀法度の厳守誓約、村約束の厳守誓約、何事か事件について関係ないことの誓約などすべて五人組を通してなされた。ここではその例を二つあげる。
(1) 盗伐についてその犯人がいないことを五人組が吟味し連判証文を差出す。
差出申連判証文之事
一 阿木村御山之内御立野踊沢にて 椹六本何者か盗伐桶木ニ仕出候段 枌(そぎ)杣見当り御注進申上候ニ付 村中御吟味被成候処 盗伐仕候者相知不申候内 五人組切ニ去冬中日々之家業何連(いずれ)仕候哉之段とくと吟味仕家業何連仕候哉相知不申者有之候ハバ 其趣可申上候旨被仰聞候付 組切遂吟味仕候処 去冬中日々之仕業不残相知罷有 私共組合ニ不審成者毛頭無御座候 若隠置 外ゟ(より)相知候ハバ五人組之者共迠 何様之越度ニ可被仰付候 其上入用等五人組之者共ゟ不残差出可申候 為其連判仕差出申所如件
文化四卯年四月 (広岡鷹見家文書)
阿木山の御山内で椹(さはら)六本が何者かによって盗伐された。誰かがきって桶木につかったに違いないということで、広岡新田村中が吟味されたが分からない。そこで五人組ごとに、「去冬日中何をしていたか、お互いに調べて不明のところがあるもの、つまりアリバイのないものを報告せよということで、五人組ごとに調べたが不審のものは五人組の中にはいませんでした。もし隠しおいて外から分かったとしたら、どんな罰でも受けますし盗材についても保障をします。そのための連判を差出します」というものである。
(2) 庄屋交替について誓約と五人組。(千旦林三百石方)。
覚
一 甚五左衛門儀又右衛門跡役ニ被仰付候事
一 甚五左衛門儀 未年若故万事立合 村方為宣様相心得可申事
一 公用取扱之儀 他組庄屋中願之通又右衛門ニ被仰付候事
一 越離新田見取 寺領社領御茶畑 岩屋堂支配 又右衛門ニ被仰付候事
一 組頭之儀先年之通無女在(無如才(じょさいなく))相勤可申事
一 右之通惣百姓中江申聞急度相守可申候以上
一 惣百姓中寄合致雑談 村中度々致騒動并地頭書付をも不相待彼是評議仕候段 甚不届ニ被思召候 今度ハ御免被遊候 此以後急度相慎可申事
一 両庄屋 両組頭 惣百姓贔屓(ひいき)無之様ニ相勤可申事
右御書付之通奉畏候 此上違背□者御座候ハバ 如何様可被仰付候 為後日 庄屋組頭五人組頭判形差上ケ申処如件
享保十三年申正月
千旦林村庄屋 甚五左衛門
右 同断 又右衛門
同村組頭 武兵衛
右 同断 長七郎
同村五人組頭 彦惣
同 平右衛門
同 忠兵衛
同 文七郎
同 平兵衛
同 吉兵衛
同 勘七郎
同 七三郎
同 弥兵衛
同 喜平次
同 惣左衛門
同 藤七郎
千旦林村三百石方庄屋は一名のときと、二名のときがあった。この年、庄屋の勤め方について村内がもめ、寄合って彼是さわいだりした。そこで「覚」前記五か条のようにとりきめた。つまり①甚五左衛門と又右衛門の相庄屋にすること。②甚五左衛門が宜しく村方をきりまわすこと。③千旦林村内の千村方、山村方を含めて、村全体として尾張領当局へ取扱いは又右衛門がすること。④枝村中新井にある新田や、寺社、岩屋堂のことは又右衛門が受持つこと。⑤組頭の勤務のことである。そしてこの事項について、五人組頭まで遵守するように誓わせたものである。なお、この文書から千旦林村三百石方の五人組は一二組あったことが分かる。