三月一九日 湯舟沢村に到着した一行は、その日より検地作業に着手した。この状況を視察した馬籠の問屋、年寄たちは、早速これを木曽谷中の宿村に連絡している。大要は次のようである。
三月一九日の八ツ時(午後二時)より検地をされたが、ことの外、早行である。田に札を立てること、問屋、年寄は役人の宿舎へ顔をだした方がいいこと。
気をつけることとしては、
○『谷中申渡』にあった年貢上納高帳、免許地、寺社領調べをしておくこと
○宿駅救金高と一人当り帳面
○馬一疋一日入用過不足帳
○伝馬、七里役、往還役などの一人当り分
○井水、道つくりの負担をはっきりさせておくこと
○検地廻村の竿さしは六人であること
○案内は組頭、御頭様(奉行)には、問屋、年寄がつくこと
○所々にむしろ二、三枚をおいて役人の休む所をつくること
○料理は一汁一菜であること
○湯舟沢村は三月廿一日に終了してしまう予定で、早行であること
などである。