米納を原則とする本途物成(本年貢)以外に課せられる雑租には、小物成(こものなり)、高掛物(たかがかりもの)、国役、夫役などがあるが、小物成とは田畑以外の山林、原野、河岸など、百姓が薪、肥料、馬草のように生活や農耕の上で利益をうけることに対する課税である。
その種類は雑多であるが、主なものをあげると、山年貢、山役、山手米永、野年貢、草年貢、茶楮年貢、油荏役、御林下草銭など百姓が利用する、こまかいものまでを対象としている場合が多い。
山年貢を例として、正保郷帳の恵那郡の項をみると、大井村では「外ニ米弐石五斗六升四(五)合 山年貢」としてあるし、大川村[瑞浪市陶町]では「高百七拾六石四斗ノ内弐石五斗 山年貢」としてあって、恵那郡合計でも、この二つは区別しており、大井村の場合を小物成に入れ、大川村の場合は本途物成に入っている。
このように小物成は郷帳に記載されていることは同じでも、本年貢的にあつかわれていたものと、そうでない小物成として定納していたものとがある。両者とも「米何石」というように米納であるが、これに対して金銀納のものもある。例えば、付知、加子母の「鹿皮役銀 三匁一厘付知村 六匁三厘加子母村 右御役銀往古より指上来申候」(加子母村史)、「銀四匁 紙舟役四艘 小菊五束の代」(濃州徇行記付知村)などがそれである。この金銀納の部分を「浮役と唱申候」(尾張藩古義)ともいっている。
以上の考えをもとに、小物成について、領主別に考察してみよう。