①について(戸主の証明)

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 このように戸主が全家族名をあげ、全員が宗旨に別儀がないことを証明していることは 千旦林村(千村方)のものがよりはっきりしているので、宝永六年の辻原分宗門改帳(中巻別編八〇八頁)から「高持長七郎分」を例としてあげる。
 
   一 辻原  高持長七郎  年四拾
         同人女房   年廿九
         同人母    年六拾弐
         同人女子たね 年拾弐
         同人男子権  年八つ
         同人弟 清之助年廿五
         同人男子又次郎年五つ
         同人女子さん 年三つ
 右男女〆八人宗旨代々禅宗旦那寺
   千旦林村  大林寺
   人数〆八人内 男四人 女四人
     右男女宗旨相改別儀無御座候
           辻原  長七郎
 
  「右男女宗旨相改(あいあらため)別儀御座なく候 辻原 長七郎」と証明している。岩村領のむらむらの宗門改帳は、一人、一人について旦那寺をつけている。それはつぎのようである。
 
   一 禅宗当村禅林寺旦那 弥兵衛組下
                  久次郎印 年五拾三
   一 同宗  同寺      女房   年五拾壱
   一 同宗  同寺    男子与六郎  年七
   一 同宗  同寺    女子せこ   年拾六
   一 同宗  同寺    姉 さく   年五拾八
   一 同宗  同寺    いとこ久三郎 年六拾
   一 同宗  同寺    久三郎女房  年四拾五 (享保二年 飯沼村分)
 
 筆頭者の久次郎について「禅宗当村禅林寺旦那 弥兵衛組下」とあげ、次は同宗同寺・誰・年○歳とあげていき一家が終わると、一として次の家族にうつるわけである。こうして五人組ごとにまとめて人数を示して、次の五人組にうつる。つまり、「五人組切」ごとに証明の形式をとっている。
 こういう書式は苗木領内のむらむらも同様であるが、日比野村宗門帳は、
 
  一 日蓮宗 五拾九歳 佐右衛門印             (尾沢家文書)
 
というように年齢を名前の先にあげている。

日比野村宗門改帳 水垣清氏蔵

 次に、戸主と家内合計人数をあげ、その内訳を記していく形式であるのが、茄子川村馬場藤十郎領(旗本)のものである。
 
      浄土宗 年三拾二
  一 久右衛門家内拾一人
    高持 禅宗
       女房年廿六 在所ハ上手向村
             五右衛門娘
       浄土宗
       男子与市郎年六ツ
       禅宗
        祖母
       禅宗
        下人金十郎年四拾四
       同宗
        下人喜左衛門年廿四
       同宗
        同 太郎平一九
       同宗
        下人権太郎年拾五
       同宗
        同 彦助 年八ツ
       同宗
        下女 つじ 年十九
       同宗
        同  つま 年四十四