これは政治的、経済的、習俗的条件がからみあっているからであろう。木曽谷の山村、湯舟沢村における家族構成を以上の考えで分類すると、次のようになる。
①庄屋与八郎家、下男、下女、年季奉公とも二〇名(享保二年)(5型) Ⅲ-13
家族構成員の多いのは3型~5型と考えられるので、その実例を次に示す。
②組頭 藤七郎家 一九名(享保四年) (3型) Ⅲ-14
[藤七郎の娘が死んで聟に女房をもらったが享保七年に独立している。]
③百姓惣七家 一八名(享保二一年) (4型) Ⅲ-15
④百姓平作家(平作夫婦、子ども夫婦、孫夫婦、弟夫婦と子ども)一七名 (2型) Ⅲ-16
⑤吉詳院家 (仏家、一五名)享保一五年 Ⅲ-17
全戸数五六戸のうち
1型 親子だけの家族 二二戸
2型 親子、孫で二夫婦ある家 八戸
3型 複合家族で二夫婦以上の家 一二戸
4型 複合家族だが一人者が入っている家 六戸
5型 下男下女などのいる家 一〇戸
(享保七年湯舟沢村宗門改帳・島田家文書)
となり、現代の家族構成にも多い型である1型、2型で三〇戸となり、過半数を占めているが、3型~5型のような家族構成型が占める割合も多いことが、現代とは大きく異なる。これは家族構成人員数にもあらわれてくる。そこでⅢ-12表(五五四頁)を作製した。表から分かることをあげると、
○家族構成人員数がもっとも多いのは(二〇~二二)庄屋家で前述のとおり 下男下女を含むものである。
○ついで構成人員の多いのは、組頭家である。
このように村役人家の人員が多い。
○もっとも多いのは九名~五名の世帯で、ついで一〇名~一四名の世帯である。
○平均すれば一世帯およそ八~一〇名となる。
○家族構成四名以下はすくない。(昭和四五年では平均家族構成三・六九名、大正九年では、四・八九名)
Ⅲ-12 湯舟沢村家族人数調べ(湯舟沢村宗門改帳)