井堰

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 次に井堰(用水溝)の数を明細帳ではっきりあげているのは、次の三か村である。
 落合村 五か所。(町裏用水、山の田用水など)
 中津川村 井堰一五か所、悪水おとし堀一か所、水門一四か所。
 千旦林村 三か所。(けいきん橋もそうであるが、入相知行地の特色として、入相用水がある)
 これ以外の村については、
 茄子川村 棚堰場 一九か所
 中新井村 村中に大小の普請場 井堰水川除これあり申候
 日比野村 当村用水谷々より引取申候
 上地村 用水谷々より引取申候(山平開墾の用水あり-霞上家-)
 阿木村 川筋より引取候 用水樋二三か所
 広岡新田 用水松沢 梨沢 木戸ヶ沢より取来候
 福岡新田 当村用水本郷阿木村字阿曽田川筋より水引申候
 青野村 用水 阿木村川 岩邑川より引取申候
 両伝寺村 用水居村谷川より引取申候
 飯沼村 用水居村谷川より引取申候
 大野村 用水居村谷川より引取申候 但し広岡新田と模合(もあい)にて
 以上のように、中津川地域は河川灌漑によって米つくりを進めている地域が多い。特に湯舟沢村、落合村、中津川村、阿木村、飯沼村である。
 右にあげた五か村のうち「川筋より引取申候……」と記録されている阿木村の用水を明治二年の絵図からあげると、主な用水は次のようである。
 野田井水 寺川より取水、萬嶽寺の北(小皿田西洞地内)、金山荒神の裏山、八幡の裏山など、三つのトンネルでぬけて、ごぼう(牛蒡)洞の溜池に落す。宮田、野田を灌漑する。(殿様井水とも呼ぶ)
 山の田井水 阿木川本流より取水する。真原井水と山野田井水にわかれ、さらに山野田井水は二分される。三か所にわかれるが、この分水割合が時として水論になる。この用水にて福岡新田を開く。
 寺領井水 広岡六地蔵附近の寺川より取水して、下広岡、加狭、藤上、寺領を灌漑する。阿木川本流の青木より取水する井水に落す。
 宮田井水 大橋の下から取水する。
 久須田溜井水 久須田の奥より灌漑する。
 田中井水 不動川より取水。
 この他に、○広岡大野から野内へぬける井水。
      ○御馬伏溜から野内、見沢をへて本流へ。
      ○八屋砥溜から八屋砥川をへて本流へおとす。
などがある。