みな口とあと

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一枚ごとの水田の水の入口を「みな口」、水田の残水をおとす口を「あと」といって、この両方とも芝草や石で水量を調整(水量・水温の管理)した。この場合に、
 ・下の田は上の田の排水を受ける義務と、上の田は下の田へ排水する権利がある。
 ・上の田は冷水の通過でこまる。下の田は水はけが悪く湛水してこまる。
 こうした水の通水を通した関係を[田がかり]という。
 前にあげた茄子川村の藤井日記の記事はこうした双方の有利、不利を共同の立場で行うために田植時期、灌水時期を慣行として地域共通に行っている例である。
 共同でやっても田がかりの争いはなくなるものではなく、個人対個人で対立した場合は前記の上の田、下の田の基本関係をふまえて調停がなされた。