Ⅳ-37 りょうぶの葉と笹の実
ここに再掲した救荒植物は、市史別編(八)村の生活に所収され 尾張徳川家太田代官所の触れをまとめた「触留」(尾沢家文書)の中にあったものである。内容は草根、木実の利と害・食べ方が書かれ、この様な書物は天保以降多く出版された。別編には赤坂宿大橋某より伝授された「藁団子の製法」も所収されている。
救荒植物
くず 根をすりつぶし汁をとり濾す わか葉はあぶりて食う。ふる葉は馬に喰わす。
わらび・ぜんまい 根のこしらえ様はくずに同じ わらびばかり食へば病を受く。
栃の実・椎の実・どんぐり いずれもうりを削る。灰汁(あく)にてゆで水にひたし、干して粉にし何にても混ぜてだんごにする。また 流れにつけて一夜おき煮ても喰う。
からすうり いずれも皮をけづり四・五日水にひたし、搗き砕き袋に入れ水に振り出す。焼もちなどにする。
すすたま 飯・粥にする。また、粉にしてだんごにする。
はす わか葉はゆでる。実は搗き砕き、粥にてもだんごにてもよし。
おにばす 茎も葉も灰汁にてゆでる。茎は皮をとり根は煮る。実は皮をとり飯にも餅にもする。
ひし 皮をむき蒸し煮る。また、茎も干し粉にし餅米などをまぜて煮る。粥にもする。
ひるがほ 根は塩を混ぜ蒸して煮る。また、さらし干し搗き砕き飯に混ぜる。また、うすにてひき焼餅にする。
ところ 横にきざみ煮て一日流れにさらし、また、灰汁にて煮て水をかえ二日程おき、何にても混ぜて食う。
鬼ゆり・姫ゆりの根 をゆでる。
○山の芋○はこべ○たんぽぼ(乳のはれたるに煮て汁を飲む)○いたどり(産後よし・はらみ人に毒)○なづな○鬼なずな○うど(茎も葉も)○よめがはぎ(今いう野菊)○やまにんにく○けいとう(痔によし)○志そ(酢とくい合せ)○すぎな○ははこ草(五行蔦ともいう)○べにのなへ(はらみ女と隠居に毒)○よもぎの葉○つるむらさき○こうほね。
右いずれも塩をまぜゆでて食う。
○山ごぼう(根も茎も)○しょうぶ○おけらの根(黒い葉をとる)。
いずれもきぎみ灰汁にて煮る、両三日水にひたしたのち食う。
○なるこゆりの若芽(根も)○ねぶの木の若葉○栗の葉○桃の葉○まる葉柳の葉(ほってながきは悪し)○りょうぶ○ゑんじゅ(花も葉も落葉も)○はりぎり(針のある木なり)○くぬぎ(実も若葉も)○藤の若葉(産婦ハ毒)。
右いずれもゆでて水にひたし、あくを取り塩を入れて食う。
○ほうし花○ほうずき○ほうせんか。
いずれも水にひたしてあぶり塩を入れて食う。
うつぼ葉 灰汁にて煮る、二日程水にひたし、秋の枯れ葉も食う。
ほこもの芽 ゆでて塩を入れる。搗きて米など実に混ぜて粥にする。
よしの芽 いまだ土中にあるものよし、こしらえ様は右に同じ、根は生にても食う。
○おおばこ○のひる根○すもとりくさ
いずれも葉をゆでて一夜水にひたし、あく、ぬめりを取りて食う。
どくだみ 根をむして飯に混ぜる。塩を入れる。
おにあざみ こあざみ いずれも灰汁にてゆで、水にひたし二・三寸の時は根も食う。
かやひき草 野むぎともからむぎともいう。つきて皮をとりだんごにする。また、葉もつきて米に混ぜだんごにする。
せり ひる子をひりつるハ毒、赤せりハ毒、右いずれも塩をまぜるがよし。水にひたすものいつとも水かえる。草の根本の葉の類に油を入れれバやわらかになる也。
米のさやぬか 二・三日水をひたし、かきまぜし水をかえ、あくをとり、日に干しいりて粉にす。米の粉等に混ぜだんごにし、また、湯茶かきたてて食う。
わら 根本に五寸 末五・六寸切り捨て二・三分ずつ刻み、二日・三日水にひたし日に干し、ほうろくにて煎り、臼にて引きふるいにかけ、その粉に何でもまぜてだんごにする。
松の皮 老木ほどよし。内かわのあまかわにがし、外のあら皮を臼にて引きふるい、煮かけて釜に入れ粉一升に水二升程いれ煮えたてて、一夜ふたとらず置きて上水を流し布にてしぼり、何にても混ぜてだんごにする。