民間の信仰

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私たちの身辺には、近世の農民らが残した信仰の対象が数多く存在している。それは路傍の石仏や石塔であったり、庚申信仰の青面(しょうめん)金剛[青体六臂の像帝釈天の使者]や観世音菩薩の画像掛軸であったりする。それに当時の人々の拠(より)どころでもあった庚申堂や観音堂などの御堂、それに小集団で祀られた先祖神や山神などの小祠が、現在も連綿と守り続けられる例もある。又その一方では朽ち果て消滅し、更に消滅しつつあるものもあり、また、語り続けられた「謂因縁(いわれいんねん)」も忘れ去られようとしている。この節では民間信仰の定義にはかかわりなく、江戸時代にこの地方の民衆の間に流布した各地域の特色ある信仰を、当時の歴史的資料をもとにして取り上げることとする。

Ⅳ-51 青面金剛画像 (阿木)