中津川市における民間信仰の痕跡は、尾張、岩村、苗木の大名三家に領知されていたことや、自然条件による地域的な差異が見られる。木曽川を領界とし維新直後の廃仏毀釈により仏教系の信仰対策を否定した苗木領の民間の信仰を除くと、中山道沿いの宿場や村々に流布したものと、岩村を中心に奥三河を含めた恵那郡南部の影響を受けたものの二つに大別することができ、いずれも念仏講中の人たちにより造立されたものであるが、前者は徳本名号石であり、後者は四十八夜念仏供養塔である。
地域的な特徴ある信仰として
・御師の来村と諸勧進 ・念仏供養塔と念仏講
・茄子川村五百羅漢 ・月待ちと日待ち
・飯沼村・中津川村川上(かおれ)の七福神 ・お鍬祭りと小祠
・阿木村藤上の四十八夜念仏供養塔 ・恵那山信仰
・中山道沿道村々の徳本名号石
などの事例を挙げるが、いずれの場合もなるべく言い伝えられてきたことをさけ、新しい事例とこれに関連した他の事例を取り入れることにした。