前記頼母子手形によって、頼母子の様子を文書中の①~⑩の文面にそってみてみると、
① 与助が宝暦四年分の頼母子給付の受領者である。それを「元仕候」としている。
② 一〇人仲間(加入者)で はじまった無尽である。人数は一〇人前後が多い。
③ 受領した金額である。金弐両弐分ト銭六百四拾八文が受領金額で、一〇人の仲間衆中持寄額である。
④ 受領金額の使用目的であるが、年貢相立とあるから、頼母子によって救済をうけて年貢にあてていることがわかる。
⑤ 受領後、この頼母子講が終会となるまで、与助は送り金をしなければならない。
⑥ 四年之間とあるから、後四年でこの頼母子は終会となる。一〇名の仲間の内、毎年一名受領で後四年あるということは、与助は六番目の受領者ということになる。
受領者順を決めた。この頼母子講の受領順を「岸右衛門取立頼母子」で見ると次頁の表のようになっている。一〇人の仲間といっても、終会は半口ずつの二人になっている。
⑦ 講本(元)に送り金をとどけることをいっているが、この頼母子は「岸右衛門取立頼母子」であるから、講本(元)は岸右衛門である。
⑧ 頼母子講の講金を受取るには、担保と保証人が必要であり、もちろん、一度受領すると、後は落札の権利がなくなり、毎回自己の送り金を出すだけとなる。だから、送り金証文ともいうべき、「頼母子手形」をとった。この場合では担保は「我が家と家財」である。
⑨ 請人とは保証人である。
⑩ 頼母子仲間のことを「講衆」とか「衆中」とかいう。