木材の陸送

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当時、それぞれ生産された木材を他国・他領へ運ぶ手段としては、陸路で継ぎ送るか、水運によって流送するかのいずれかであった。この両者は、それぞれ長短を持っていた。水運については、後述にゆずって陸運について考えてみる。
 木材の搬出について歴史的にみると、陸運がさきで、水運は近世に入ってからと考えられている。しかし、陸運となると、積み材の長さ、重さにはおのずと制限があったことは、容易に理解できる。従って、短軽材が主であったと考えられる。
 その陸送の具体的な例については、史料をみないが、木曽から山村氏の白木五〇〇〇駄と、木曽住民への助成としての白木六〇〇〇駄がすべて陸運で、江戸・名古屋方面へ駄送された。また、木曽谷の南北に設けられた「口留番所」では、御免手形がなければ通過されなかったことなどを考えてみても、当時の陸運を想像するに難くない。