黒瀬道(街道)は苗木の城下と尾張領加茂郡細目村黒瀬湊をつなぐ道である。
Ⅵ-160 黒瀬道略図
日比野村の飛驒街道との分岐点を基点とし、元北恵那鉄道並松駅南東に「右ひだ・左くろぜ道」(天明三年)の石の道標が建っている(この道標は並松の町の中程にあったが、明治になってこの地に移転されたものである)。
Ⅵ-161 黒瀬道道標
(元並松駅南東)
道は知原橋付近で付知川を渡り、高山、蛭川、中野方、福地、久田見を通って黒瀬に至る。道は軍事目的の意味から四尺二寸に制限され、ところどころに並木もあった(中野方町史)。
黒瀬道は、桑名・笠松から船で運んでくる塩・海産物等を黒瀬で陸揚げし、木曽川以北の村々へ運び、それらの村々から板子、カジヤ炭、茶、木紙などを運ぶ重要な道であった。また領主西上の道であり、幕府の巡見使も通った。