日光例幣使の御染筆

1509 ~ 1509 / 1729ページ
当地方における歌道の発生や発達に影響を及ぼしたと見られるものに日光例幣使がある。彼等は宿主の饗応に対する返礼の印として短冊や色紙などを残して行った。これは、地方の風雅を愛する人の良き師であったに違いない。また、市岡家には二条流詠歌秘伝書「詠歌秘訣五事之習」、世尊寺流の和歌書法「能書方書法之大㕝(事)」および二条流のものと推定される「和哥(歌)会式」が秘蔵されている。これらは、日光例幣使と何らかの因果関係で取得されたものと考えることができよう。

Ⅶ-1 詠歌秘訣五事の習(市岡正兄氏蔵)