うきくさ集

1532 ~ 1533 / 1729ページ
天保一五年(一八四四)五月板行、嗣子左涼編、天融霞外上座小祥忌、追善うきくさ集は、霞外坊の辞世句<みしか夜の夢とさめ行此日かな 霞外坊>を表紙裏に掲げ、序は友左坊と奚花坊が認めている。句集名は、友左坊の追善句、<萍(うきくさ)やはや一めくり流れ咲 右百茎老仙>によってつけられている。この集の特色は、地元および美濃国内が八一名であるのに対し、周防二四八名、長門七名、長崎一〇五名(末尾欠除のため帖数不明)という出詠となっており、門流伝播活動における西国重視の姿勢を覗うことができる。
 
 音を入れし鶯も咲け一周忌  奚花坊
  むかへる魂も〓(梅)雨はれの雲 左 涼
 檐はしりのよそにちきりの肌脱て 嵩左坊
  沸手はやはりもとの水也    兎 乙
 
以下、廬玉・斗南・露文・巴考・東烏・巴鳰・幾昔・才我・里融・周雅・錦河・徐風・応笑・浦遊・元之坊・洗耳・古狂・鬼笑とつづけ、揚げ句は、
 
 巡りあふて弔ふ忌も丁度はな   花実坊
  陽炎のたつ塚の敷砂      馬 風
 
と短歌行を巻いている(落合公民館蔵)。

Ⅶ-23 うきくさ集(落合公民館)