安政二年(一八五五)から三年にかけて医王寺に俳諧奉納三部が献ぜられた。安政二年のものは「花鳥撰」と題し、願主は村川林蔵(亀叟)・長瀬与吉(時中)・辻井利助(浮月)で評者は桑蔭幾昔。三年のものは「月雪吟」と題し、催主は辻井利助・長瀬与吉・村川林蔵・蜂谷季助(馬州)で、評者鈴木桑蔭と裏書がある。今一枚は所在不明である。
Ⅶ-35 花鳥撰(落合・医王寺)
Ⅶ-36 月雪吟(落合・医王寺)
桑蔭は明治一五年(一八八二)七四歳で病死した。辞世句<雲にのる首途や富士を初とまり>が高福寺裏の墓石に刻まれている。
雲にのる首途や富士を初とまり>