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銭のほうは当初以来個数制で、一個を一文(もん)とし一、〇〇〇文を一貫としたから、銭一貫六百五拾三文などと呼んだ。なお銭は、中世以来民間に使用されその種類も多く、古銭・貿易輸入銭・各地の私鋳銭の流通に委せられた。私鋳には鉄銭も出回り、これを鐚銭(びたせん)という。輸入銭で明の永楽銭は量多く、質も精良であったので、銭計算の標準として、「永何文」「永高」などと基準になった。その後寛永一三年京都の大仏から寛永通宝が鋳造され、次第に新銭として統一されるにいたった。
 金・銀・銭の交換割合は、慶長一四年幕府が比価を定め、金壱両=銀五〇匁=銭四貫文とした。しかし、その後も相場の変動や、貨幣の改鋳などにより、金・銀・銭の間の換算率が変化しすこぶる複雑なものとなった。
 苗木藩東白川村の換価(一両の銭立(ぜにたて)資料)を左に掲げる。
(表)表16 苗木藩銭立一覧表(金1両につき)
年代 銭立 年代 銭立
貫文 貫文
延宝7 5.000    4 6.500
元禄15 4.000    7 6.800
   17 4.200    9 6.600
宝永1 4.100    10 6.800
   7 4.200    11 6.800
正徳5 3.200 文政12 6.600
享和1 2.800 天保2 6.600
   2 2.600    3 6.600
   3 2.400    5 6.700
   4 2.600    7 6.700
   15 2.800    8 6.600
   16 2.600    9 6.600
   19 2.400    10 6.600
元文2 4.600    11 6.600
延享2 4.600    12 6.600
   3 4.500    13 6.400
   4 4.800    14 6.500
寛延1 4.400 弘化1 6.400
   2 5.120    2 6.400
宝暦2 4.400    3 6.400
   8 4.300    4 6.348
   13 4.000 嘉永1 6.300
明和2 4.032    2 6.300
安永5 5.300    3 6.400
   7 5.800    4 6.400
   8 5.800    5 6.400
   9 6.200    6 6.400
天明8 5.700 安政1 6.400
寛政2 5.732    2 6.600
享和1 6.700    3 6.600
   2 6.700    4 6.600
   3 6.400    5 6.600
文化2 6.400    6 6.500
   3 6.800 万延1 6.400
   4 7.200 文久1 6.400
   5 6.800    2 6.400
   8 6.800    3 6.400
   10 6.800 慶応2 7.000
   12 6.800    3 8.000
文政1 7.400 明治2 10.000
   2 6.800

  天保6年 天保100文銭を鋳る。
  慶応4年鐚銭の換価 寛永通宝1枚24文
  文久通宝1枚16文 天保銭1枚96文