木曽では毎年一月に山村代官所の寺社方から庄屋に宗門改帳作成心得が通達された。外垣庄屋諸事書留帳宝暦七年正月一三日付の通達を掲げると次のとおりである。
急度申入候、当宗門改如例年於村々、庄屋・問屋・年寄・組頭打寄壱人も洩人無之様ニ遂吟味、一季居奉公人之分も、前々相触候通親元帳面ニ洩不申様ニ書載、勿論帳面相違、落字無之様ニ書立、寺判并庄屋・問屋・年寄・組頭惣連判共ニ相調、来ル二月中迄ニ役所え差出可申候
この通達をうけると庄屋宅に村役人が寄合い、昨年一年間の増人帳から出生・婚姻による転入等の増人、欠人帳から死亡・婚姻・養子縁組による転出者などを去年の宗門改帳と照合して加除を行い、本年度の宗門改帳の作成をした。一月中に一回、二月中に一回入念に読み合せて、洩れ人・名前の違いなど確認を終ると、光西寺の証明印を受け、二月中に福島役所に提出した。宗門改帳の検査は厳重で、名前の違いや洩れ人があると呼び出されて訂正をした。