宿は交通の機関として設置されたもので、村または在郷とは全く別の機構で、交通に関する部面は幕府の道中奉行及び藩の支配下にある。宿の人馬継立の主宰者は問屋である。問屋は一宿に二人で一人は村の庄屋が兼務した。補佐役に年寄がおかれた。馬籠宿は四人であった。
問屋場(会所)の事務を執る者には、帳付・馬指・人足指・刎銭支配方がある。刎銭支配方は、安永年中刎銭制度の出来て以来の役目である。
宿には家が密集して人口も多いので町方事務も相当にあり、これは年寄が扱った。
在郷には組頭がいて庄屋の監督下にあって事務を処理した。これは宿のない村と同様である。
宿役人の職務については、交通の項にゆずる。
村役人 幕藩支配機構の基礎単位は村であり、村には庄屋・組頭・百姓代が置かれ、定使が付属していた。定使は村役人ではない。これを村方三役という。このうち百姓惣代がおかれるようになったのは、江戸中期の享保ころからとみられる。