検地起請文

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検地にあたって役人たちは、検地仕様(検地実施心得)、検地掟(検地規則)に基づいて実施をする。湯舟沢島田庄屋家の「御領検地掟書写」(中津川市史中巻別巻所収)に検地仕様の覚がある。二三ヵ条からなっている。その冒頭に、村のよくなるも悪しくなるも、百姓の身上よくなるも悪しくなるも検地の仕様によるもので、検地帳によって末代までも年貢高を勤めることになるから、検地の仕方は大切であることをわきまえ、その仕方は正路なることが第一であると諭し、個々の仕方について説明している。
 検地実施前に検地役人は起請文を提出した。その内容は、正路に行うこと、公平であること、潔白であることなどがあげられている。
 また一方検地を受ける百姓側にとっては、毎日の生活を左右する身上を定め、生死の根本となる大事であるから、少しでも百姓に有利な結果となるように考えるのが当り前である。そのために隠し田を作ったり、賄路を贈って丈量を緩やかにし、道・堤・川除の関係地だといって除くように働きかけるなど工作するのが当然といえる。これを防ぐために、村役人や作業にたずさわる百姓から検地前に誓約書をとらなければならない。
 百姓側検地案内人、竿持、村役人の誓紙の内容は、案内者は落地や隠田をしない、検地後道代(しろ)分をせばめたり、井堀・堤地が広くても乱すようなことはしない、などであった。