慶長の統制令

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幕府は慶長八年(一六〇三)幕領・私領の百姓が、その代官・領主の非分のために所を立退いたとき、みだりに引戻してはならぬ。代官に不法があれば、直訴してもよい。農民をやたらに殺してはならぬ。逃亡百姓に年貢未進があれば、隣郷の賦課率で奉行所において精算させることにし、非分ある領主に対しては退転百姓の立場を支持している。
 寛永八年には、幕領・私領の農民の訴訟手続を定め、直訴権は削除され、訴訟はその他の支配系統を経て行うように改められた。寛永一九年八月の「覚」では、耕作をなおざりにして年貢を不沙汰にするいたずらな百姓があれば、田地を取り上げ所を追放する。独りの百姓が患って耕作が出来なければ、村中が互に助け合って耕作して年貢を収納すべき事を命じている。