天保一〇年七月三日付福島役所勘定所は、絹糸の木曽外移出を許可制として「番所通過切手」のない糸は番所の通過を規制し、次のように触を達した。(外垣庄屋用留帳)
谷中糸の儀宿村役人より送切手相添附出為し候旨、右切手に引当改相通候様、贄川・萱平・一石栃御番所へ申渡候付ては宿々役人より別紙の通り切手差添附出為すべく申候、残らず附払の上惣べて人別等書付を以って役所へ申達すべく候、持越相成候品これあり候はば其の段も取調申達すべく候、但右切手差し添えず分は御番所にて、通行差支候、右の通り村々へ相触、村々において糸御遣し心得方洩らさず様申し付べく候
(天保一〇)
亥七月三日 御勘定所
覚
一糸 何駄
何程
右は当宿誰の仕上候糸にて何国、何誰へ売払い、当所附出し為(な)し申候、貴御番所相違なく御通し下さるべく候、御断り為斯の如くに御座候以上
年月日 何宿役人誰印
一石栃御番所
天保一三年一二月七日付福島役所は尾張藩庁より、蚕飼(こがい)の者が用いている蚕種の種類と枚数を戸ごとに調査して報告するよう通達があったから、次の案文のとおり提出するよう回状で通達を出している。
案文
村名 上記の合計数 上記種の合計数、買入先、代価等
蚕飼の家数何軒 家数何軒
厚種何程 厚種何程 厚種何程、何国何所、買入先名、壱枚当り代価何程
薄種何程 薄種何程 右同
自分種何程 自分種何程
小紙何枚これあり候ても、右のとおり相認め、料紙堅弐ツ折に認め差出す事
右の回状に対する回答申達は見当らない。
回状を以て申入候、然ば村々内にて蚕飼立候者共、子種の員数家ごとに取調、別紙案文の振相認、来卯正月中に相違なく差出申べく候、承知の上村付下に印判押早々順達、納所より役所え差し戻者也
寅十二月十七日 永六郎左衛門印
小傅左衛門 印
右の回答を次のように申達している。
覚
蚕原種六枚半
右は越中八尾甚兵衛と申す者より、壱枚代金壱分ずつにて買入申候、其外種屋等参らず申候
右のとおり山口村中蚕飼種相調申候処、斯の如に相違御座なく候
天保十四年正月