四十九日まで

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 葬式の夜のお念仏が済むと、白木の位牌は四十九日まで床の間に飾って置きますが、その期間中お灯明を絶やさぬ様に、昼でも真夜中でも豆ランプを灯し続け、毎朝一ぱいの水も供えます。この水は午後四時までには必ず捨てなければなりません。もし忘れてこぼさなかったりすると、三途の川は大水となって仏様が渡れなくなってしまうのだそうです。
 初七日は言うまでもなく墓参りです。墓前の湯呑み茶碗や、飯茶碗に水を一ぱい注ぎ入れて、その中にしきみの葉一枚を浮ばせ、人々はその葉で水を掬っては、白木の野位牌にかけるのです。そして七枚並んで付いているうすい塔婆の端の一枚をはぎ取ります。
 雨が降っても、風が吹いても、七日目毎に墓参して、その塔婆を一枚づつはぎ取り、四十九日には最後の一枚がはがされるのです。
 そして、床の間の仏様は、仏壇に入るのです。

(昭和三年秋)


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