冬の遊び

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 日蔭の霜柱が一日中解けなくなり、庭も原っぱも、ぬかるみで遊べなくなると、女の子の間では、綾とり、おはじき、お手玉が流行り始めます。関東大震災後、ポツポツ移住して来た勤め人の家の子は、しっとりと重みのある小豆を入れたお手玉ですが、農家の子供のは大体、川っ縁や荒地にあるずずごを入れたお手玉です。ずずごは小豆より大粒で、少し軽い感じがします。しかし農家の子供らにとっては、遊び道具に穀物を使う事の罪悪感めいたものが、心の片すみに有ったようでした。女の子達は、家人から貰った和服の残り布で、配色を考えながら俵型や、四枚はぎのお手玉を、見様見真似で作るのでした。
 男の子達は、馬跳び、竹馬、けん玉、ベエゴマ遊びです。醤油樽を伏せて、濡らした蓙を窪ませてのせ、そこで鉄の小さいコマを廻して遊ぶのです。何時も五、六人の男の子が、餓鬼大将の家に集り、物置の廂の下で、わいわい騒ぎながら、コマとコマをぶつからせて遊ぶのでした。