廿日出御書状廿二日着、御こまやか様ニ仰
戴き、有難/\拝見申上奉り候、
君益御機嫌よく入せられ候との御左右
伺、ま事ニ/\有難御事、安心致まいらせ候、
扠度々御いそかしき御中より御書状
戴き、御請差上す様仰戴き候所、
此方よりも当月三日・同一二日・同十七日ニ御便り
差出、御請(※1)不申上所ニハなく、節々ニ
申上候つもり、すでニ十七日出ニ申上置
候通りの事ニ而、御便り着候と御上包
引さき候程ニいそき御帰りの御左右やと
拝見いたし候所、毎も/\御帰りの
御左右伺不申、私の心中御さっし被下候、
行届ぬ私、とふそ御留守中、人様ニ
御わらわれ申ぬよふニ御留守番致たく
と存、私の心一ばい気を付御留守番
いたし候間、その所ハ御あんしん願上候、且私も
日増ニ身おもニ相成り候へハ、長々の
御留守中実ニ心細く、何事もうち
わすれ、御帰りの御左右計御待申上、
実ニ待くたひれ、心中御さっし被下候、
だん/\月も重候へハ、いろ/\御相だん
事も御座候ニ、今日の御便りニ而ハ御帰りハ
毎(いつ)の事やら知れ不申、がつかり致まいらせ候、
たん/\知れ候様成り候ゆへ、近所(※2)の
御新造たち歓くれ祝儀申くれ、
旦那様も御留守中、御母様も御出なく、
さそ/\おこまりと、ま事ニよく何か
おしへくれ、夫ニ飯田さんの御新造
昨今こし候へ共、ま事ニ深切の御人ニ而
夫ハ/\何か/\よくおしへくれ歓候
事ニ御座候、夫ニもはや来月ハ九月(※3)
ニも成候間、何時の事も知れ不申、
御留守ニ而ま事ニ心ぼ(そ)くまくり(※4)等ハ
いかゝ致置候事や、玉村おあいなぞハ
木薬やニ而かい候よし申候へ共、もはや
とゝのへ置候物ニ候ハゝかい可申哉、
又ハ小達(※5)ニ而もらい候方宜哉、又ハ
当り月迄ハ宜事ニ候哉、御帰りが
余り御おそくゆへ気がもめ候て
成り不申、御相たん申上候、呉々も
十七日出ニいろ/\申上置候事ゆへ
とふそ御吟味願上候、尤十七日比ハ白川と
仰戴候へハ、矢張越堀宿名宛にて
出し置候事ニ御座候、花色糸の御事も
仰戴有難、実ハさっぱりと手切ニ
相成り候ゆへ、十日計前ニ五十疋分
とゝのへ候所、ま事ニ少くゆへ、ま事ニ/\
有難/\/\御礼申上候、并ニ此ほと
一寸御帰りの節、塩かま御持参戴き
御立後人様ニほめられ、四本御座候
のを大切ニ仕まい置候所、よぎなく
弐本人様ニ上ケ、一本内でひらき、
もはや一本ニ成御めん遊し候、あの
よふ成風味ハ余りなく、私も
戴たくなから、一寸手ニ入がたき
御菓子ゆへ、大切ニ仕まい置候へ共、
どふそ御帰りの節、御とゝのへ御持参
の程ひとへニ/\願上候、呉々も
糸有難/\/\御礼申上候、もはや
待請ハとふニそろへ置候へ共
君の御留守ニ私ハこまりはてまいらせ候、私
目もおふきニ宜、御あんしん被下候、
何も/\君御丈ぶ様とさへ伺候へバ
わたくし心ハ落付候事ニ御座候、
くれ/\も一時ニ御早く御帰りヲ願上候
まん/\年々 めてたくかしく
なを/\ めてたくかしく
四月廿 出 日出
御請かた/\
旦那様江 申上 つけ
人々御中
旦那様江 申上 つけ
人々御中
※2 近所…敏克夫婦の住居は四ッ谷尾張町、前広瀬藩の御長屋。