廿日午後三時御認被遊候御書状、廿二日
十一時比着、拝見、ひつくり致まいらせ候、私も
日々身面ニ相成り、との様ニ存候とも
御帰りなく、此両三日ニハ夜分もふせり
兼程御帰りヲ待候へ共、十九日の御書状
ニ而ハ、いつか帰る時も御座候なぞと御申
越、実ニとふ致たらよかろふと存居
候所へ、廿日出拝見、ひつくり致、腹の中
ひつくりかへり、手ふるへ、涙計出、かけ
不申、十七日ニ申上候事も御座候、夫も御手許へ
不参、ヶ様成御手紙ニ而は、思召の所相済
不申、よふ/\の事ニ而御請認置居ても
立てもいられ不申候間、寝ふしまいらせ候、
実ハ申上候ハ、今日初てヶ様成事申上候と、
何か私がいぢのわるい事ニ而も申上候
やうに御くみ取候てハ済不申と存、申上
す(ず)候へ共、峯さん(※1)、君の御内の節と御留守とハ
御心二ッの様成事計ゆへ、私も代筆
御頼申候事なそハいやゆへ、御頼も不申、
夫ニ御身御よわきせいと申ニ候や、夫ハ/\
ぶせう(不精)/\、御はたらき被成候ハ
君の御内の時計ゆへ、御留守中も何度私
おこり候事や知れ不申、私もヶ様成
御手紙戴候うへハ、二ッ一ッニ而申上候、十七日出ニ
申上候通り、十二日出後目いたくゆへ、夫ゆへ
つゐ/\十七日迄御便り申上す(ず)、其所は
重々恐入/\、実ハ私も御道中にて
御あんしの 旦那様へ御苦労かけ
候てハ済不申と、一々ハ申上す(ず)候へ共、
気分わるき事も度々ゆへ、かた/\
御そゑんの事も御座候て、其所ハ幾重も
恐入/\/\御めん願候、仰戴候通私も
初ての事、只今迄御奉公の身、何ニも/\
存不申、さとう并ニ永田さん(※2)の人も
御存なき方計、たれ壱人相たん
相手もなく、只々君の御帰計
ヲ御待申上、もとより峯さんニ左様成
咄しなそ致候事ハいや、いそ(※3)ニ計御帰りハ
毎々との事、度々申居候位の所へ、
昼間口へ出し候も世間御座候間がまん
いたし、夜分ニ成候とふさぎこみ/\、
今日の御手紙ニ而ハ頭上り不申、御さつし
被下候、仰戴候通り初の事、只今迄も
何一ッ聞及候事なぞハなく、私か是程ニ
君の事のみ日々存暮し、何事も
打明候ハ君計、すでニ永田さんへも
おかしな御咄しなから、有難人と
御礼申上候程の所へ、ヶ様成御手紙
実ニかなしく/\、君より外ニ便り候
人、壱人もなく、ヶ様成御手紙戴、
とふ致たらよかろふと、実ニぼふ
せん致まいらせ候、家事の事ニ取紛ても、
何ても居不申、仕事等ハ不残致置、
只々御帰りのみ御待申上暮しまいらせ候、
峯さんも別ニとふと申事ハなく
ゆへ、私も御便りなき御人の事ゆへ、
実の弟と存、御世話いたし候つもりゆへ、
御留守中なから本等御とゝのへの節ハ、
金子等も出し上、□□月給等もまご
つかぬよふニ出し上候ニ、何ヲ御頼申候ても
急ニハ被成被下す(ず)、実のない仕かた、つゐ/\
わたくしも度々腹立候事ニ御座候、
何も/\今日ハ認兼御さつし被下候、
めてたくかしく
なを/\めてたくかしく
四月廿二日三時出ス
十九日御返事
旦那様へ 申上 廿ニ日つけ
人々御中
旦那様へ 申上 廿ニ日つけ
人々御中
※1 峯さん…敏克の実弟、峯次郎。つげにとって厄介な同居人。