廿日出の御便り廿二日着と昨日の御便りニ
申上候へ共、余りひつくり致まちかひ
廿三日着、直ニ取あへす御請申上候事ニ
御座候、 君益御機嫌よく入せられ候御事と
有難かりまいらせ候、扨廿日出の御便りニ而
心てんどう致、昨日ハ何を申上候哉覚不申、
繰かへし拝見申上候所、ま事ニ御腹立の
御様子ニ伺、当月ニ成候ても、此方も二日・十二日・
十七日・廿二日并ニ廿三日と御便り出し置、
此方へも川支延着も御座候間、定めし
其御地へも御同様の事と存上、并ニ四・五日も
御便り出し不申上ハ、御止宿いかゝ認候哉と、
夫ゆへ間違ヲおそれ先々見合、今一度
御便り着の上、差出し可申なぞと存、延し候
事も御座候へ共、外ニヶ様/\ニ而御便り申上
ずと申上候事ハ何も/\なく、私たゞ
ならぬ身と度々御あんし戴、何共/\
有難/\恐入、しかし是ハ女の役ゆへ実ハ
少し位心わるき事ハ 君を存上候得は
苦ニも不相成、 君とても昨年中随分
御腹等御いたみの御事もあらせられ候御様子
なから、御手紙ニハ毎も/\御丈ふ/\と計
仰越させられ、矢張私が御あんし申上候を
御いとゐの事と存、私とても御同様ニ御座候、
実ハ私も仰の通り初ての事ニ而何一ッ
知れ不申、先便も申上候通り近所の
御新造たち、さそ/\御こまり、是か入あれか入
と申くれ、承り候てハ追々ニそろへ、私うご
かれず様成候ては御母様も御出なくこまり
候間、人さまより承り候と、一ッ/\ニそろへ候様
成事、夜分なぞもま事ニ心持よろしからす(ず)
事度々、壱人ニ而寝たり置たり、やれ/\
出来るか出来ないかニ御立、只今を以御帰り
なく、何と申心細き事や、側ニ入せられ戴
候ハヽヶ様の事もあるましく、のぼせ上り候
程御帰りヲ御待申上、ヶ様ニ存候ても致方
なく、御母様の御わかれ(※1)でさへ御帰りなくニ
家内事ニ御帰りハむつかしくといろ/\ニ
存直し、何でも御留守ヲ大切ニ守り、もはや
お互ニ年もそへ候事ゆへ、壱人も子なく
てハ楽しみもなくゆへ 君ヲ存上候へハ自分の
身とハ存不申、何ても丈ふニ而うみおとし
そだて、 君の御あんしんニさへ成候へハ外ニ私の
願ハなく、此年生れ十才ニ成候へハ、
君ハ御いくつ自分もいくつなぞと、そんな事計
かんがへ、すでニ一昨日もいそニ、私の様成仕合者ハ
なく、何一ッ不足もなくゆへほしくもなく、
此うへハ 旦那様御丈ふニ而御勤戴、子供そだち
さへ致候へハ外ニ願ハなくと、申居候所へ
十九日出着、いろ/\仰戴、いつか帰る時も可之有(ママ)
なぞと仰戴、いろ/\かんかへ、行届かぬ私
何か御腹立御心替りても被遊、私ハまつたく
御用済せられす(ず)御帰りなき事と存居候所、
廿日出御手紙并ニ御発句の御様子ニ而ハ
御心替らせられ候事と外存られ不申、便りも
するな 君よりも御便り不被下との御書状、
昨夜ハひと目もふせり不申、腹の中ハ
もめかへり、むね迄上り候様成心持、今朝も
皆頭へのぼせ、とふ致候てもをきられ不申
ゆへ、二階へ上りひつかぶり居候、ヶ様成事ニ
候ハヽ私身ハいか様成候ても宜、苦ろうも
友にするが今日の道と仰戴候へ共、昨年
已来壱人ニ而心配いたし、御留守中の大へん
并ニ 君は極暑極寒共御道中計、私
心中御さつし被下候、かぞへ見候へハ六月
御一所ニ居、十月の御留守番ニ御座候、夫も/\
御るすかち承知のうへニ而参り候事ゆへ、
左様成事申候てハ済不申と存、とふそ
昨今なから、内のため并ニ世間のつき合
あいそづかしの出来ぬ様ニとつき合置
候つもり、并ニ旦那様の御光りニ而
ま事ニ深切ニ被成被下候間、有難事と
存居候所、十九日・廿日出拝見、ぼふぜん/\/\
いたし、御留守かち承知で参り候ても
日増ニ深く成程御一所ニ居たく何一つ
たべ候と申ても、御一所ニ戴候へハ別し而おいしく、
すでニ白酒御初穂も当月迄仕舞置候へ共、
余り御帰りなく、すく(酸く)成菜漬もかげん
宜所差上たく、御帰りのうへたべ可申と
かこひ置候所、たん/\時かふ替り、くさく
成、よん所なくたへて仕舞、あれ是私の
心中も御さつし被下候、もはやよもや
十七日出、着の事と存上候、何も/\廿日出
御書状御発向ニ而むねせまりまいらせ候、
峯さん事、御自分のぶせうたなへ上ケ、
昨日口かへしされ、私も腹か立候間、上書
女認不宜候へ共相願す(ず)、自分ニ而認候
事ニ御座候、とふそ今日共の十七日より四度の御返事
ヲ御待申上居候、私の身の事も度々
申上出し候、其外ハ何が御心障出来候哉、
御一はい(ばい)ニ仰戴たく願上候、御帰りのうへ
御留守中私の心中、いそへ御尋願候、
めてたくかしく
なを/\めてたくかしく
四月廿四日朝八時頃より認
九時過出ス
廿四日 用事
旦那様江 つけ
人々御中
旦那様江 つけ
人々御中