4.明治7年4月24日

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廿日出の御便り廿二日着と昨日の御便り
申上候へ共、余りひつくり致まちかひ
廿三日着、直取あへす御請申上候事
御座候、 君益御機嫌よく入せられ候御事と
有難かりまいらせ候、扨廿日出の御便りニ而
心てんどう致、昨日何を申上候哉覚不申、
繰かへし拝見申上候所、ま事御腹立の
御様子伺、当月成候ても、此方も二日・十二日・
十七日・廿二日并廿三日と御便り出し置、
此方へも川支延着も御座候間、定めし
其御地へも御同様の事と存上、并四・五日も
御便り出し不申上、御止宿いかゝ認候哉と、
夫ゆへ間違おそれ先々見合、今一度
御便り着の上、差出し可申なぞと存、延し候
事も御座候へ共、外ヶ様/\ニ而御便り申上
ずと申上候事何も/\なく、私たゞ
ならぬ身と度々御あんし戴、何共/\
有難/\恐入、しかし是女の役ゆへ実
少し位心わるき事 君を存上候得は
も不相成、 君とても昨年中随分
御腹等御いたみの御事もあらせられ候御様子
なから、御手紙ニハ毎も/\御丈ふ/\と計
仰越させられ、矢張私が御あんし申上候を
御いとゐの事と存、私とても御同様御座候、
私も仰の通り初ての事ニ而何一ッ
知れ不申、先便も申上候通り近所の
御新造たち、さそ/\御こまり、是か入あれか入
と申くれ、承り候て追々そろへ、私うご
かれず様成候ては御母様も御出なくこまり
候間、人さまより承り候と、一ッ/\そろへ候様
成事、夜分なぞもま事心持よろしからす(ず)
事度々、壱人ニ而寝たり置たり、やれ/\
出来るか出来ないか御立、只今を以御帰り
なく、何と申心細き事や、側入せられ戴
ヽヶ様の事もあるましく、のぼせ上り候
程御帰り御待申上、ヶ様存候ても致方
なく、御母様の御わかれ(※1)でさへ御帰りなく
家内事御帰りむつかしくといろ/\
存直し、何でも御留守大切守り、もはや
お互年もそへ候事ゆへ、壱人も子なく
楽しみもなくゆへ 君存上候へ自分の
身と存不申、何ても丈ふニ而うみおとし
そだて、 君の御あんしんさへ成候へ私の
なく、此年生れ十才成候へ
御いくつ自分もいくつなぞと、そんな事計
かんがへ、すで一昨日もいそ、私の様成仕合者
なく、何一ッ不足もなくゆへほしくもなく、
此うへ 旦那様御丈ふニ而御勤戴、子供そだち
さへ致候へなくと、申居候所へ
十九日出着、いろ/\仰戴、いつか帰る時も可之有(ママ)
なぞと仰戴、いろ/\かんかへ、行届かぬ私
何か御腹立御心替りても被遊、私まつたく
御用済せられす(ず)御帰りなき事と存居候所、
廿日出御手紙并御発句の御様子ニ而ハ
御心替らせられ候事と外存られ不申、便りも
するな 君よりも御便り不被下との御書状、
昨夜ひと目もふせり不申、腹の中
もめかへり、むね迄上り候様成心持、今朝も
皆頭へのぼせ、とふ致候てもをきられ不申
ゆへ、二階へ上りひつかぶり居候、ヶ様成事
ヽ私身いか様成候ても宜、苦ろうも
友にするが今日の道と仰戴候へ共、昨年
已来壱人ニ而心配いたし、御留守中の大へん
 君は極暑極寒共御道中計、私
心中御さつし被下候、かぞへ見候へ六月
御一所居、十月の御留守番御座候、夫も/\
御るすかち承知のうへニ而参り候事ゆへ、
左様成事申候て済不申と存、とふそ
昨今なから、内のため并世間のつき合
あいそづかしの出来ぬ様とつき合置
候つもり、并旦那様の御光りニ而
ま事深切被成被下候間、有難事と
存居候所、十九日・廿日出拝見、ぼふぜん/\/\
いたし、御留守かち承知で参り候ても
日増深く成程御一所居たく何一つ
たべ候と申ても、御一所戴候へ別しおいしく、
すで白酒御初穂も当月迄仕舞置候へ共、
余り御帰りなく、すく(酸く)成菜漬もかげん
宜所差上たく、御帰りのうへたべ可申と
かこひ置候所、たん/\時かふ替り、くさく
成、よん所なくたへて仕舞、あれ是私の
心中も御さつし被下候、もはやよもや
十七日出、着の事と存上候、何も/\廿日出
御書状御発向ニ而むねせまりまいらせ候、
峯さん事、御自分のぶせうたなへ上ケ、
昨日口かへしされ、私も腹か立候間、上書
女認不宜候へ共相願す(ず)、自分ニ而認候
御座候、とふそ今日共の十七日より四度の御返事
御待申上居候、私の身の事も度々
申上出し候、其外何が御心障出来候哉、
御一はい(ばい)仰戴たく願上候、御帰りのうへ
御留守中私の心中、いそへ御尋願候、
           めてたくかしく
     なを/\めてたくかしく
     四月廿四日朝八時頃より認
     九時過出ス
 
    廿四日 用事
旦那様     つけ
     人々御中

※1 御母様の御わかれ…敏克の母、前年死去。