8.明治7年5月2日

高精細画像を見る


三十日出御書状二日着、有難/\/\拝見
申上奉りまいらせ候、
君益御機嫌よく入せられ候御事有難/\
存上奉り候、扨三十日出着拝見、ま事
恐入/\/\、有難かり拝見申上奉り候、
度々の御書状ニ而ま事恐入、全く私の
拝見取違ひ、遠路御はなれ申居候事
ゆへ、御様子も知れ兼、夫ゆへ何ヶ様
御腹立せられ候事哉と一づのぼせ上り、
其後御便りも不被下いかヽ致へく哉と
存込候ゆへ、度々いろ/\申上、御用多
御取込の御中へ家内者より御苦労相かけ、
ま事済不申候御事、幾重も/\恐入/\、
真平/\御めん遊し願上候、もふ/\三度之
御書状ニ而よく/\心も落付、昨日髪も
そろへ候間、寝あせ等も追々よろしく
相成り候事ゆへ、とふそ御かんへん遊し、
全く私の存違ひ、御預り置の御本
また/\よく/\拝見いたし候間、真平/\
御めん/\遊し願上候、いわひ事小達
かヽり候様申候へ共、薬か(が)子の為成不申
よし、兼て昨年中御母様より伺居候
間、実母さん(※1)ニ而済せ居候所
君よりも仰戴候事ゆへ有難、様子次第
にて小達懸り可申、しかし度々の
御書状ニ而、ま事心嬉しく/\、もふ/\
薬も何も入不申、只々一時も御早く
御帰り御待申上居まいらせ候、もはや
御跡調と伺候て、御間もなくと、ま事
有難/\/\、大切御留守番守り候
御事御座候、今日心持よく久々ニ而
手水も遣ひ、さつはりと致まいらせ候、
昨ばん初て干葉(干場)ニ而こし湯致、昨番
おふき腹のぐわいも宜、御あん心願候、
くれ/\も私 君より外便り候
方なくゆへ、一たんのほせ上りまいらせ候、
真平/\/\御めん/\遊、もはやよく/\
心も落付候間、御用中御心配不被下
やう願上候、三十日出着、直御請申上候
御事御座候、万々年/\/\/\/\安藤
ばァさん(※2)の義も御帰りのうへ御咄し
申上候事御座候、島崎(※3)も其内頼申
へくと有難かりまいらせ候、
           めてたくかしく
     なを/\めてたくかしく
 
別紙申上候、峯さん御母上当
五月十日御三回忌と存候、付ては昨年も
百疋御上ケゆへ、当年も右様可致や
一応伺まいらせ候、尤御当日御膳等仮備候
つもり御座候
     五月二日十二時後出ス
 
旦那様 申上     つけ
     人々御中

※1 実母さん…実母散、漢方の家庭薬。

※2 安藤ばァさん…御長屋の主婦仲間。

※3 島崎…御長屋の主婦仲間。