五月一日出御便り四日着、御細やか様の
御書状拝見、実ニ恐入/\、有難/\/\/\
拝見申上候、御道中ハいかゝ哉、東京ハ
昨朝より大風、夜に入、夜中大風雨、
日々のよふニ雷いたし、何かきみのわるい
事ニ御座候、
君ます/\御機嫌よく御勤戴候
御事有難/\/\、ま事ニ大安心ニ御座候、
扨廿六日出、廿八日出、廿九日出、五月一日出
御書状不残着、繰かへし/\/\拝見
いたし、ま事ニ恐入/\/\、真平御めん
あそハし願上候、全く女心ニ而、大切/\の
旦那様ニ御腹ヲ御立せ申てハ済不申、
折ふし女今川出し見、天よりも高き
旦那様御一所ニ居、御しかられ申ハいく
らでも宜候へ共、長々の御留守中まして
昨今の私、とふそ不調法のなきやう
御留守番致たく、私ゆへニ
旦那様の御いわれ遊し候様成事出来
候てハ成不申/\と存つゞけ、余り
長々ニ相成り、何と仰越せられ候ても
あんしられて/\成不申所へ、御腹
立の御書状、とふ致したらよかろふと
存込、夫ゆへつい/\ふさぎ込、御便りも
着不致内、もとより佐藤并ニ永田様へ
たり共、其様成事御咄し申事ハいや/\
ゆへ、外ニ致方なくゆへ、とふそこれ
ほどニ大切ニ存込居候所、とふ致候事や、
とふそ私の心中夫の方へ届き候様ニと
観音様へ相願候事ニ座候、もふ/\
四度の御書状ニ而むねも腹もま事ニ
落付、ふさぎの心どこへ参り候哉と
存候様、心持よく相成り、昨今ハ御膳等も
おいしく相成り、心持よくま事ニひどく
うごき候様相成り、御用中へつまらぬ
御苦労相かけ、真平/\御めん遊被下候、
もとより近所の者見舞ニ参り候とて
ヶ様の心配の事なそ毛ぶりニも出し不申、
時かふ不順のせいと計申置、峯さん并ニ
いそたり共、毛ふりも咄し不申、峯さんハ
初の御手紙御承知うへ何と思召候哉、
いそとても毛ぶりも咄し不申、是程ニ存上居候
旦那様の事、有難い/\とのじまんハ
度々いたし候へ共、ヶ様成事咄候事ハ
いたし不申、是迄の御書状あけすてなき
様ニと仰戴き、何共/\有難/\/\、私こそ
余りいろ/\の事申上、御腹立御帰り
後さとうへても御咄し遊でも致候ハヽ
いかゞ可致と又心配の所、追々の御書状
ぶり、ま事ニ/\有難/\/\、もふ/\私の
心ハさつはりと落付、有難/\/\精々と
いたし候間、とふそ 君ニも御かんへん
被下、此義ハ是きりニひとへニ/\願上候、
呉々も跡から/\ぐと(くど)/\申上、真平/\
御めん/\願上候、何れ御帰りのうへ御咄し
申上候へ共、近所ニもいろ/\の事御座候
ゆへ、私のよふ成有難旦那様ヲ持候人が
有かと存候へハ、天共何共有難/\、左候へハ
長々の御道中あんじられて/\成不申
なから、つゐ/\気ぶん不宜なそにて
御そゑんいたし御苦労相かけ、くれ/\も
御めん/\願上候、尤寝あせハ先月初
比より初り候事、只今を以さつはり致
不申ゆへ、湯へハ久々入不申用心致し
居候事ニ御座候、明日ハ 君の御延(誕)生日
兼て 御母様より伺居候まゝ赤の
御膳等いたし御祝致可申と存居候へとも、
君御留守の事ゆへ、御帰りのうへと存居候へ共、
有難御添御書状戴候間、御肴とゝのへ
戴、御祝ハ御帰りのうへと可致、御目出たく/\/\、
乳の事まて御あんし戴、ま事ニ神事と
そんしひつくり致ほと大きく相成候
間、御あんしん被下候、佐藤ニも免職ニ相成
とふそ四ッ谷辺へ参りたく、とふか御屋敷
内ニ御明長屋や有ましく哉と、賢次郎頼ニ
参り候へ共、家内心中も御存の通り余り
近ニ成候ハいや、杉江の御長屋も明居候へ共、
君の御留守中さ様成懸合ハ出来
不申、かた/\御明御座なくと申て断候
事ニ御座候、付ても私の様成者ヶ様ニ
思召戴候とハ何と申有難御事哉、
勿体なく/\/\、有難かり/\/\まいらせ候、
何も/\御帰りのうへ山々御わひ等
申上候事ニ御座候、此御時節
君御りつばニ御勤戴候御かげを以らく/\
暮し候事ゆへ、御留守番ハとの様にも
大切ニ致候間、御用済のうへ一時も御早く
御帰りヲ願上候、玉村おあい(※1)参り自分
事九ヶ月ニ而生候よし、大切と申候間、此程
何時も知れ不申と申上候へ共、此四五日
ま事ニ腹合宜ゆへさ様にもあるましくと
有難/\/\、とふそ御帰りのうへ心丈ふニ
相成り、生れ候様致たく願上居候、私の
心、 君御帰りニ成候と先宜とそんし
候せいか、心やわらかニ相成り、夜分も覚
なしニふせり候所、御留守ニ相成り候と、
がたりと申ても目覚、夫よりおきつゝけ候
やう相成り、こまり/\まいらせ候、此ほと
御すしこしらへ候節かんひよう取候所、
夫ハ/\/\高直/\/\、ひつくり致候やう
ゆへ、御せわ/\しき御中恐入候へ共、御帰り
節御とゝのへ御持参願上候、しい竹ももはや
少々ニ相成り、相叶候事ニ候ハヽ是も
御とゝのへ願上候、今日昼後一日出着、
直ニ御請申上たくと認かゝり候所、跡から/\
人さま御出、認候間なくゆへ今ばん認候
事ニ御座候、御帰り御便りヲ御待申上
暮しまいらせ候、春の桜等詠候て暮し
候様仰戴、もふ/\御書状有難/\ゆへ、
桜ニも不及庭ニ而沢山慰居候事ニ
御座候、万々々々年 めてたくかしく
なを/\めてたくかしく
五月四日夜認
ヶ様認候所、昨はんハ寝あせ出不申、此分ニ而ハ
もはや宜とふそ/\御あんしん願候
御請かた/\
旦那様へ 申上 つけ
人々御中
旦那様へ 申上 つけ
人々御中